2年ぶり甲子園目指す履正社の現在地 岡田監督「大阪桐蔭との差は大きい」

主将・濱内の力強い言葉「部員74人全員でまたあの舞台に行くんだ」

 だからこそ期待されるのは、前チームから経験豊富な野手陣だ。不動の1番を務める筒井太成は、一昨夏の甲子園には1年生で唯一ベンチ入りを果たしている。類いまれな打撃センスは折り紙つきで、この日放った2本の二塁打はいずれも逆方向。「この冬は常に逆方向を意識してバットを振ってきた」と自信をのぞかせた。

 2番の西山虎太郎も打撃センスは負けていない。前チームでは1番打者も経験。当時の大阪桐蔭のエース徳山壮磨(現早大)や、昨秋には智弁和歌山のエース平田龍輝から長打を放つなど、好投手にめっぽう強い。昨春のセンバツでも5試合で打率.429と結果を残している。

 3番で主将の濱内も、昨春のセンバツでは打率5割。この日も3ランを含む6打点と気を吐いた。「濱内のバッティングはチームとして手本にしていかないといけない。シンプルに打てていて無駄な動きがない」と、辛口の指揮官も絶賛。チームメイトの西山も「今年に入ってからの練習試合では、濱内は常に2本以上ヒットを打っている」と一目置く存在となっている。彼ら大舞台の経験を持つ上位打線が攻撃に勢いをつけられるか、そして下位打線にどう繋げられるかも、大きなカギとなる。

 チームの練習などがあり、今春のセンバツ中継はほとんど見ていなかったという履正社ナイン。それでも2連覇を果たした大阪桐蔭の快挙は、当然耳に入ってくる。大阪桐蔭の試合はすべて録画したという筒井が「根尾(昂)君はストレートよりも変化球の精度が上がっていました。さすがです」と言えば、西山も「(根尾の)あのスライダーは絶対に打てないと思いました」と絶賛。だが、根尾や藤原恭大らと同じように、下級生の時からチームを引っ張ってきた者として、当然1歩も引き下がるつもりはない。

「自分たちも負けない練習はしてきたつもりです。この夏に甲子園に行かないと、1、2年生は甲子園の雰囲気を知らないまま、来年を迎えてしまう。今日は結果的に大差になりましたが、これからは接戦になった時にどんな展開に持ち込めるかも大事。部員74人全員でまたあの舞台に行くんだという気持ちで、これからも練習に打ち込みたいです」

 そう言った主将・濱内の言葉が、とても力強く響いた。

(沢井史 / Fumi Sawai)

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