巨人名二塁手の系譜を継ぐか…守備好調の吉川尚輝 リーグ屈指の守備成績で貢献
吉川&坂本の巨人二遊間が誇る断トツの守備範囲
今季もフレッシュな選手たちがペナントレースをにぎわしているが、セ・リーグの内野陣にも新しい風が吹いている。
セ・リーグ6球団の二遊間の守備成績を見てみよう(4月28日終了まで)。RF(レンジ・ファクター)は1試合当たりのアウトを取った数(刺殺+補殺)、守備範囲の広さを示す。刺殺は飛球を捕ったり、捕球後にタッチするなどして走者を直接アウトにしたプレーを指し、補殺はゴロなどを塁に送球してアウトにしたプレーを指す。
巨人 RF10.61 守備率.988
(23試合101刺殺143補殺3失策31併殺)
ヤクルト RF9.91 守備率.965
(22試合77刺殺141補殺8失策31併殺)
阪神 RF9.62 守備率.976
(21試合86刺殺116補殺5失策22併殺)
中日 RF9.43 守備率.982
(23試合76刺殺141補殺4失策29併殺)
広島 RF9.20 守備率.991
(25試合85刺殺145補殺2失策35併殺)
DeNA RF8.68 守備率.974
(22試合68刺殺123補殺5失策23併殺)
守備成績は、野手だけでなく投手のタイプやグラウンドの状況にも影響されるが、巨人の二遊間の守備範囲がずば抜けて広いことがわかる。RFの数値によれば1試合当たり二遊間がアウトにした数では、巨人はDeNAよりも2個近く多い。
この優秀な守備成績は、遊撃・坂本勇人、二塁・吉川尚輝の新コンビによって生まれている。昨年まで、巨人は遊撃・坂本は不動だったが、二塁は寺内崇幸、マギー、中井大介らが入れ替わり立ち替わりで守り、固定できなかった。しかし、今年は2年目の吉川が開幕から正二塁手として固定されたことで、リーグ最強の二遊間が誕生した。
○セ・リーグ 二塁手の守備成績 RF順
1.山田哲人(ヤ)RF5.91(22試合54刺殺76補殺1失策)
2.吉川尚輝(巨)RF5.70(23試合58刺殺73補殺0失策)
3.菊池涼介(広)RF5.04(25試合53刺殺73補殺0失策)
4.高橋周平(中)RF4.78(18試合41刺殺45補殺1失策)
5.倉本寿彦(De)RF4.24(21試合36刺殺53補殺1失策)
6.鳥谷敬(神)RF2.93(14試合21刺殺20補殺1失策)
二塁手のRFは5以上でトップクラスだとされる。一昨年まで名二塁手と言えば広島の菊池涼介と相場が決まっていたが、RFでいえば昨年は山田哲人(RF5.20)が菊池(RF4.99)を抜いていた。今季はこの2人の争いに巨人の吉川が割って入った形だ。ここまでのRFの数値は極めて高い。
吉川は打者としては92打数23安打0本4打点3盗塁、打率.250、同じく今年抜擢起用され、28日終了時点でリーグ打点王になっている岡本和真に比べれば見劣りする。しかし、守備面では吉川はリーグ屈指の貢献度になっている。
巨人の二塁手と言えば、戦前戦後の千葉茂、V9時代の土井正三、80年代の篠塚利夫、平成の仁志敏久と名手が揃っている。吉川尚輝もこの列伝に名前を連ねることができるだろうか。
(広尾晃 / Koh Hiroo)