光る広島丸とG山口俊の貢献度 セイバー目線で選出する3、4月のセ月間MVP
開幕直後の苦しいチーム状況でも好投を続けた山口俊
◯3、4月月間MVP セ・リーグ投手部門
山口俊(巨人)
登板4 3勝0敗
WHIP 0.90 奪三振率9.29 QS率100% 被打率.180(リーグ1位)
防御率2.03 FIP 2.00 (リーグ2位)
候補選手は9人。その中でも有力なのはこちら。
山崎康晃(DeNA)
防御率0.90 0勝1敗9S 奪三振率10.8 被打率.152
メッセンジャー(阪神)
防御率1.86 4勝1敗0S 奪三振率8.69 被打率.193
山口俊(巨人)
防御率2.03 3勝0敗0S 奪三振率9.29 被打率.180
菅野智之(巨人)
防御率2.77 3勝2敗0S 奪三振率7.38 被打率.231
規定投球回数に達していませんが、山崎康晃が10試合に登板し9セーブを挙げる活躍を残しています。また防御率0.90、奪三振率10.8と抜群の安定感も見せてくれました。4月10日の巨人戦では歴代6位のスピード達成となった189試合目での通算100セーブも達成しており、そういった点も加味されてMVPに推挙されるのではないでしょうか。
ではセイバーメトリクスの視点での評価を見てみましょう。
山口俊
FIP 2.13 WHIP 0.90 QS率100% K/BB 4.00
メッセンジャー
FIP 2.00 WHIP 1.03 QS率80% K/BB 3.11
菅野
FIP 2.67 WHIP 0.95 QS率60% K/BB 8.00
山崎康
FIP 3.10 WHIP 0.90 K/BB 3.00
被本塁打、与四死球、奪三振のみで投手を評価するFIPにおいては、メッセンジャーと山口俊が高成績となりました。山崎はイニングの割には与四球も多く、FIPが伸びていません。
山口俊とメッセンジャー、両者甲乙つけがたい数値となりましたが、こちらが提示した指標において1位となった項目が多かった山口俊を選出しました。4月前半においてチーム事情が苦しい中でも、しっかりQS(クオリティースタート、6回以上を投げて自責3以内)を達成し、大きな連敗を食い止める形を作り、4月後半のチーム8連勝につなげていったと言っても過言では無いでしょう。
鳥越規央 プロフィール
統計学者/江戸川大学客員教授
「セイバーメトリクス」(※野球等において、選手データを統計学的見地から客観的に分析し、評価や戦略を立てる際に活用する分析方法)の日本での第一人者。野球の他にも、サッカー、ゴルフなどスポーツ統計学全般の研究を行なっている。また、テレビ番組の監修などエンターテインメント業界でも活躍。JAPAN MENSAの会員。近著に『統計学が見つけた野球の真理』(講談社ブルーバックス)『世の中は奇跡であふれている』(WAVE出版)がある。