【1軍をマクレ】「今、2軍にいることも悔しい」ロッテ20歳左腕が心に秘める勝ち気と恩義

野球上達にかける貪欲な学びの姿勢、大隣は「結構影から見てます」

 今季からフォームを高校時代の時に近いものに変えた。秋田商3年生の時に出た夏の甲子園では、チームを80年ぶりベスト8に牽引。初戦の龍谷高戦では9回1失点16奪三振の快投で話題をさらった。「理想に近い」というこのフォームは、足を上げた時に縦の軸を意識しながら、止まらずに、流れるような体重移動でボールに力を伝えるもの。マウンド上では「力まずに、リラックスした状態から投げ始めて、フィニッシュの部分は指がしっかり掛かるように」と意識している。

 加えて、今季のロッテでは四球を出してもいいから、腕をしっかり振ることを心掛けるように言われているという。「昨年までは四球を出したら印象が悪いなって気持ちもあったんですけど、今年は四球を出したら次の打者を抑えれば点数は入らないって感じで投げられている。腕を振って投げることで自分の持ち味が、もっと出せると思います」

 その効果があってか、調子がよくなかった春先はストレートの回転量は2000rpmほどだったが、新フォームが馴染みつつある今では2200rpmまでアップしている。

 学ぶ姿勢は貪欲だ。ストレートの精度を上げたいと思えば巨人の田口に教えを請い、変化球を交えた配球の妙を知りたいと思えば高校の大先輩でもあるヤクルトの石川雅規に話を聞く。今季からロッテ入りした大隣憲司も最高のお手本だ。

「大隣さんご本人には言ってないんですけど、キャッチボールだったりブルペンだったり、結構影から見てます。身近にあれだけ実績ある方がいて、幸せにも一緒にやらせていただいている。もちろん時間があればいろいろ聞きます。聞いて学んで実践して、自分のモノにしていかないと大きくなれませんから」

 野球が上手くなりたい。野球が大好き。その一心だ。それは子供の頃から変わらない。小学校の頃は軟式野球で左利きながらショートを守った。「大変でした」と苦笑いで振り返るが、それでも野球が大好きだった。水泳、体操、ピアノ、ヒップホップ……。いろいろな習い事をしたが、「野球以外は本当に嫌だった」と苦笑いする。中学で野球1本に専念し始めた時は、本当にうれしかったという。

グローブに入った「恩」の刺繍に込められた思い

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