大谷の二刀流活躍に米メディア衝撃推察「球界はオオタニについていけない」
内角攻めも外角攻めも対応、投手としては4球種操る
時計の針を少し巻き戻し、今春キャンプイン時を振り返ってみよう。当時、エンゼルス大谷翔平投手が挑もうとしていたメジャーでの二刀流実現に否定的な見解を示していた人はどれだけいただろうか。思うような数字が残せなかったオープン戦を経て、その数はどう変動しただろうか。その数は決して少なくなかったはずだ。それでは、開幕から2か月が過ぎようという今、大谷の二刀流実現を疑う声は聞こえるだろうか。ほぼ皆無に近いだろう。
ここまで投手として6試合に先発して3勝1敗、防御率3.58、打者として24試合に出場して打率.321、6本塁打17打点の成績を残す大谷は、従来の概念を覆す二刀流の活躍で旋風を巻き起こしている。米各種メディアでは連日どこかで大谷の特集を展開しているが、米スポーツ専門メディア「SBネーション」傘下の「ザ・リンガー」も例外ではない。「球界はショウヘイ・オオタニについていけないかもしれない」という衝撃のタイトルで、23歳ルーキーのすごさについて検証している。
特集では、大谷が秘める最大の才能は「順応力・咀嚼力」であると指摘。投打にわたり、その才能が見えた場面を紹介している。
打者としては、日本で成功を収めたレッグキックをやめてノーステップ打法を採用。オープン戦終盤にヒンスキー打撃コーチからアドバイスを受けると、短期間で自分のものとし、結果を出し始めたと評価している。さらに、日本ではあまり見られなかった内角攻めに苦しむだろうという周囲の予想通り、4月末までに50球以上を内角に投げられた打者の中で、内角球の割合が最も高かったことを紹介。だが、ヤンキース戦でセベリーノの内角直球を右翼席に突き刺さる本塁打とするなど内角球を“攻略”すると、今度は外角低めを攻めるパターンが急増した。それでも大谷の勢いは止まらず、「投手の試行錯誤は今後あれど、最初の2ラウンドは大谷に軍配が上がっている」とした。
投手としては、4月中は球速160キロを超える速球と、落差の大きいスプリットの2球種を中心に投球を組み立てていたと指摘する。2球種だけでも打者を高確率で三振に仕留めていたが、右中指にマメができた時期を境に「高めだった制球が低く集まるようになった」と分析。5月に入ってからはスライダーとカーブを投げる割合が増え、4球種全てを織り交ぜた配球で打者を翻弄するようになったことにも注目している。さらに「オオタニは101マイルから68.5マイルまでの球速差を駆使する」と32.5マイル(約52キロ)の緩急差を指摘。「開幕時よりも経験を積み、非常にアンフェアな攻め方をする成熟した選手になりつつある」と高く評価した。
つまり、投打両面で敵が講じる対策を難なくクリアしてしまい、その上を行こうとする大谷に「球界がついていけないかもしれない」というのだ。数々のスーパースターを輩出してきたメジャーにおいても、素晴らしい効果を発揮している大谷の「順応力・咀嚼力」。これから先も長く続く野球人生で、大谷はどこまで大きく成長し続けるのか楽しみだ。
(Full-Count編集部)