もう一度やりたかった「野球」― “小さな守護神”武田久の今

39歳のベテラン右腕が見据える新たな目標

「結果を出さなくてはいけないという緊張感や真剣勝負は現役ではないと味わえない。『辞めます』と言ったら、そこで終わりです。だからこそ、1年でも長く現役にこだわって欲しいですね」

 2月のキャンプでは自ら選手たちに話しかけ、すぐに新しい環境にも慣れたという。そんな右腕は今、昨年惜しくも準優勝に終わった都市対抗野球大会での優勝を目指し、歩みを進めている。

「投手、野手ともに個々のレベルが高い。あとはどれだけチームとして本当の意味で1つになれるか。日本一を狙える戦力は備わっていると思います」

 都市対抗野球大会での自身の登板については「僕が投げなくてもみんな頑張ってくれれば」と、若手の活躍に期待を寄せる。新鮮な毎日を送っているという右腕はその笑顔に充実感を漂わせた。ベテラン右腕はプロを経験したからこそわかる社会人野球の素晴らしさを、これからも周囲に伝えていくつもりだ。

(篠崎有理枝 / Yurie Shinozaki)

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