元中日チェンが語るイチローのすごさ「いますか? 44歳であんなに走れる人?」

「今、そしてこれから先、自分が何をできるかが大事」

 オフに主力選手を大量放出してチーム再建に乗り出すマーリンズは、今季59試合を終えて20勝39敗と大きく負け越し、ナ・リーグ東地区最下位に沈んでいる。24歳外野手のルイス・ブリンソンをはじめ有望株と呼ばれる選手は多いが、経験が少なく若手のためにも、今こそイチローのような存在がチームには必要なのではないかともいう。

「パワーが主流のメジャーの中で、イチローさんのようなスタイルは本当にユニークですし、あれだけ長いキャリアを続けられる選手はなかなかいません。今のマーリンズには20歳そこそこの若い才能ある選手がいますが、彼らはイチローさんのような選手から学ぶことは多い。正直、僕はイチローさんの方がまだまだ走れるし、打てるし、守れると思ってるんですけどね(笑)。いますか?44歳であんなに走れる人?メジャーで40歳を超える野手はほとんどいないし、いてもDHとかパワー打者が多い。44歳までスタイルを変えずに走り続ける。そして、そのための準備を続ける。あの姿はやっぱりスゴイです」

 もちろん、チームの方針に異議を唱えるわけではない。ただ、イチローの野球に対する姿勢を見て、感じて、学んだ自分のように、若手が未来につながるヒントを得るチャンスがなくなってしまったことが、少し残念に思うだけだ。

「僕はとても40歳まで投げられません。35歳も超えられるかな?」といたずらっぽく笑う左腕だが、まずは今季、1試合1試合登板を重ねながら、結果として怪我なくシーズン終了まで投げ続けることを目指したい。

「過去のことは過去のこと。今、そしてこれから先、自分が何をできるかが大事。自分がやるべきことに集中しながら、そして目の前の1試合を大切にしながら、少しでもチームを勝たせられるように頑張ります」

 高校卒業後に故郷の台湾を離れ、努力を重ねて日本での成功をつかんだ。太平洋を渡り、30歳を超えて迎えた試練。これを乗り越えた時、また投手として新たな境地が開けるのかもしれない。

(佐藤直子 / Naoko Sato)

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