「イチローは家族を大切にしている」 米メディアが伝えたマリナーズとの“絆“

「彼のいたすべての場所の中で、ここは幸せな場所のようである」

 ただ、イチローは「単なる尊敬に値するMLBのベテラン選手というわけではなく、マリナーズの象徴であり、マリナーズのユニホームを着た偉大な選手のトップ5に入る」という存在。特集では、「マリナーズのユニホームを着たイチローをまた見るスリルは否定できない」と球団にとっていかに特別な存在であるかを強調している。

 大方の予想通り、イチローは開幕からの1か月で強いインパクトを残すことはできなかった。地元メディアは戦力外の可能性を何度も報じたが、背番号51が会長付き特別補佐に就任し、“現役続行”という形をとることで決着。過去に例のない“役職”でチームに帯同し、選手を支えている。選手たちはことあるごとにイチローの存在の大きさについて語っており、2001年以来のプレーオフ進出へ向けて好位置につけるチームの中で重要な役割を果たしていることは明らかだ。

 記事では、春季キャンプでイチローと時間をともにしたマイナー選手のイアン・ミラーのコメントを紹介。何に最も驚いたかを聞かれ、「彼の取り組み方について耳にするけれど、実際にそれを目の当たりにすると本当にすごいんだ。本当に多くのことを学んだよ。でも驚いたこと? 彼はとても……面白いんだ。予想できない感じでね。本当にただ面白い。ただすれ違っただけでも、彼は完璧な一言を口にするんだ」と話している。

 さらに、マーリンズ時代からのチームメートで、練習中にはイチローのそばから離れないディー・ゴードン内野手が、今年春に出版されたライト・トンプソン氏の本の中で「本当に彼がプレーを続けることを願うよ。なぜなら、彼に死んでほしくないからね。彼はプレーを続けないと死んでしまうのではないかと思うんだ。イチローが野球をしなかったら、何をするっていうんだ?」と話していたことにも言及している。試合に出ないがチームに帯同して選手と一緒に練習する、という立場は今までになかったものだが、それがイチローであれば“日常“になってしまう。

「彼のキャリアを見てきた人で、彼が野球をしないと信じる人はいるだろうか? イチローは2つのうち1つの場所にしか存在できないようである。それは、野球のフィールドと野球のフィールドに向かうまでの道のりである。そして今、彼は第3の場所にいる。フィールドでもなければ、フィールドでないわけでもない。それは境目であり、他の誰もいたことのない境界の場所である。それでも、彼のいたすべての場所の中で、ここは幸せな場所のようである」

 何よりもイチローが幸せそうであることが、現在のような状況になったすべての理由を表しているようにも見える。特集では「部外者からは少し愚かだったり、悲しく見えるかもしれない。しかし、よく見てみよう。イチローとチームの写真をよく見てみると、彼が野球における家族、彼が時間をかけて築くことを学んだ家族を大切にしていることが分かる」とも言及している。

 2019年、マリナーズは東京ドームで開幕戦を行う。イチローがここに現役選手として出場する可能性はかなり高いと見られている。そして、その後もイチローがマリナーズの一員として公式戦の舞台に戻ってくる機会がいつ訪れても不思議ではない。イチローとマリナーズの特別な関係は、いつまでも続く。

(Full-Count編集部)

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