近藤&上沢、打者も投手も日ハムから セイバー目線で選ぶ6月のパ月間MVP
先月に続く活躍、安定感が増してきた上沢
◯6月月間MVP パ・リーグ投手部門
上沢直之(北海道日本ハムファイターズ)
登板3 2勝0敗
防御率1.17 FIP 1.69 WHIP 0.74
QS率100% K/BB 10.5
RSAA 6.15 (すべてリーグ1位)
NPB選出の候補選手は8名ですが、有力候補の月間成績はこちらです。
上沢直之
防1.17 23回 2勝0敗 奪三振率8.22 被打率.188
岸孝之
防1.74 31回 4勝0敗 奪三振率9.87 被打率.193
ボルシンガー
防2.31 35回 5勝0敗 奪三振率6.94 被打率.203
菊池雄星
防2.18 33回 3勝1敗 奪三振率9.27 被打率.217
石川歩
防0.99 27回1/3 4勝0敗 奪三振率5.00 被打率.250
増井浩俊
防0.66 13回2/3 0勝0敗5H7S 奪三振率9.88 被打率.081
今月のパ・リーグ投手部門も実力が伯仲しています。勝ち星では、ボルシンガーが5勝と一歩リードしています。完封勝ちが1つ、4試合でQSかつ沢村賞式QS(7回以上で自責点3以内)を達成しています。先月も4勝でしたので合わせ技一本での6月の受賞が有力でしょう。
それでは、セイバーメトリクスによる評価での上位の選手はどうなるでしょうか。以下に紹介します。
上沢直之
FIP 1.69 被本塁打0 WHIP 0.74
QS率100% K/BB 10.50 RSAA 61.5
岸孝之
FIP 2.86 被本塁打3 WHIP 0.87
QS率75% K/BB 5.67 RSAA 4.24
ボルシンガー
FIP 2.81 被本塁打1 WHIP 1.00
QS率80% K/BB 2.70 RSAA 5.00
菊池雄星
FIP 2.48 被本塁打2 WHIP 0.97
QS率80% K/BB 5.67 RSAA 5.90
石川歩
FIP 2.68 被本塁打0 WHIP 1.07
QS率75% K/BB 2.50 RSAA 4.29
増井浩俊
FIP 2.97 被本塁打1 WHIP 0.81
QS率– K/BB 3.00 RSAA 1.70
上沢は、FIP、WHIP、QS率、K/BBすべてリーグ1位を獲得しています。投球回数は23と他の先発投手よりも少なめですが、RSAA(Runs Saved Above Average)という、平均的な投手に比べてどれだけ失点を防いだかを示す指標
(リーグ平均FIP?選手個人のFIP)×投球回数/9
においても、リーグ1位の数字を示しています。よってパ・リーグの月間MVPは、先月もセイバー指標で優秀な成績を収めていて安定感を増してきた上沢直之を選出いたします。
鳥越規央 プロフィール
統計学者/江戸川大学客員教授
「セイバーメトリクス」(※野球等において、選手データを統計学的見地から客観的に分析し、評価や戦略を立てる際に活用する分析方法)の日本での第一人者。野球の他にも、サッカー、ゴルフなどスポーツ統計学全般の研究を行なっている。また、テレビ番組の監修などエンターテインメント業界でも活躍。JAPAN MENSAの会員。近著に『統計学が見つけた野球の真理』(講談社ブルーバックス)『世の中は奇跡であふれている』(WAVE出版)がある。