先発マスクで「敗戦投手」に!? 15回まで捕手で出場→16回に登板し決勝被弾
Dバックス先発マスクのマシスが「敗戦投手」に、同僚は「本当に良くやった」
9日(日本時間10日)にフェニックスのチェース・フィールドで行われたパドレス-ダイヤモンドバックスの一戦で、同点の延長16回に登板した捕手が敗戦投手になるというメジャーならではの“珍事”があった。
試合は3-3の同点で終盤へ。しかし、両チームとも得点を奪うことができず、延長戦に突入した。パドレスは15回までに8投手、ダイヤモンドバックスは9投手をマウンドへ送り込み、7回以降はスコアボードにゼロが並ぶ。そして、16回にダイヤモンドバックスが投入したのが、この試合で先発マスクを被っていた捕手のジェフ・マシスだった。
メジャーリーグでは、大差がついた試合で投手の“節約“のため、野手がマウンドに上がることは珍しくない。ただ、同点の場面での野手の登板は異例だ。しかも、先発マスクを被り、15イニングに渡って投手をリードしてきた捕手の登板。それだけの熱戦、総力戦だった。
マシスはジャンコウスキーを一直、アスアへは見逃し三振と2死を奪うも、強打者のマイヤーズにはフルカウントから粘られ、最後は9球目の87マイル(約140キロ)を右中間に運ばれた。続く主砲ホズマーは二飛に仕留めたが、ダイヤモンドバックスはその裏に追いつくことができずに敗れた。
結局、マシスは1回20球を投げて1安打1失点1奪三振で敗戦投手に。アスアへにも粘られたため、マイヤーズにソロ弾を浴びたのはこの日17球目のボールだった。
MLB公式サイトによると、ダイヤモンドバックスの主砲ゴールドシュミットは「ヘトヘトだったに違いない。(投球は)最高だった。多分、彼はがっかりしたと思うけど。簡単ではないんだ。大差のゲームではなく、同点、延長、そして勝ちたい試合での登板だった。本当に良くやったよ」と大奮闘したマシスをねぎらったという。
また、記事ではマシス自身のコメントも紹介している。マイヤーズに打たれたボールはスライダーと判別されたが、「スライダーのように見えたと思うけど、今日スライダーは投げていないよ」と証言。その上で「チェンジアップを数球織り交ぜたけど、ただプレートに目がけて投げていた。ボールを低めに制球し、ストライクをとることに集中していたんだ」と話している。
そして、ホームランを打たれたことについては「3つ目のアウトを取って、ダグアウトに戻ってこられたら良かったのに、と思うよ」と悔しさをにじませたという。もっとも、チームのためにマウンドに上がり、奮闘したマシスを責める選手は一人もいないだろう。