強豪にコールド負けも笑顔 西の京・東「今日の投球は高得点をつけてもいい」

智弁学園相手に中盤まで好勝負を演じた西の京【写真:沢井史】
智弁学園相手に中盤まで好勝負を演じた西の京【写真:沢井史】

コールド負けも、中盤までの好勝負で得た財産

 第100回全国高等学校野球選手権の奈良大会・2回戦が17日に行われ、西の京は智弁学園に0-8で8回コールドを負けを喫した。

 悔しい敗戦だったが、西の京の先発・東は最後まで冷静だった。

「今日はとにかくボールを低めに集めること、ランナーを溜めないことだけを考えました」

 相手は春の県大会6試合で15本塁打をマークした強力打線だ。でも、気持ちでは負けたくない。

 自分の持ち味でもあるスライダーの出し入れで勝負した。心に秘めた思いの通り、序盤はスライダーが冴え渡った。2回、3回はスライダーで空振りに仕留め、2奪三振。ボールは外野に届かなかった。

 だが、中盤以降、体のスタミナは徐々に限界に近づいていた。「ボールも高めに浮いてきたので嫌な感じはしました」。相手はその隙をちゃんと突いてきた。

 それでも味方の好守備にも勇気をもらった。2回2死一、二塁の場面では低めの球を打たせてサードゴロで併殺に仕留め、ピンチを脱出。8回無死二塁の場面ではセカンド方向に飛んだ強い打球に、二塁手の福島が飛びついてアウトを奪った。「普段から試合を想定して練習しているので、いつもやっていることをここでもちゃんとやろうと。東を何とか助けてあげたかった」と福島は汗をぬぐった。

結果としてはコールドゲームでの敗戦。それでも、中盤まで0-0の好勝負を演じたことは、今後へ向けて大きな財産となる。降板後、8回のピンチで伝令に走った時は、仲間と笑顔で乗り越えようとした。願いは叶わなかったが、下は向かない。

 試合後、東は「今日のピッチングは高得点をつけてもいいかもしれないです」と微笑んだ。何点なのかは分からない。それは今後の人生でどう生かすかで決めるつもりだ。

(沢井史 / Fumi Sawai)

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