智弁学園エース伊原、1年生と急造バッテリーも「一緒に勉強できるチャンス」

智弁学園のエース・伊原【写真:沢井史】
智弁学園のエース・伊原【写真:沢井史】

正捕手の怪我で1年生・佐藤が公式戦初スタメン

 第100回全国高等学校野球選手権の奈良大会・2回戦が17日に行われ、智弁学園は西の京に8-0で8回コールド勝ちを収めた。

 キャプテンを務める正捕手の小口が7月に入ってから肩を負傷し、夏の初戦でマスクを被ったのは、公式戦初スタメンの1年生の佐藤だった。「リードも打撃も、センスが高い」と小坂監督はその才能を認めるが、先発のエース伊原はいつも以上に気合を入れていた。

 初戦でいきなり1年生と組むバッテリー。当然リスクも考えられたが、伊原はむしろポジティブに捉えた。「自分も佐藤も一緒に勉強できるチャンス。思い切っていくしかないと思いました」。

 初回から軽快なピッチングだった。スライダー、チェンジアップをコーナーぎりぎりに決め、三振の山を築いた。7回を投げ、奪った三振は12個。常にストライクを先行させながら、佐藤のリードに応えた。序盤は打線が振るわず、なかなか援護点が入らなかったが、テンポの良さが守備にもリズムをもたらし、中盤以降に爆発した打線に火をつける格好となった。

 我慢、我慢のイニングが続いたが、伊原には疲弊した様子はなかった。というよりも、見せなかったのかもしれない。試合後、エース左腕は「とにかくカウントを悪くしないように投げようと。それができたのは良かったです」とクールに振り返った。

 チームの窮地、そして「緊張で昨晩は眠れなかった」という1年生の“相棒”を救った快投。智弁学園にとって鬼門とされる初戦突破の立役者となった背番号1の背中が、一層大きく見えた。

(沢井史 / Fumi Sawai)

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