「ダメなら終わり」―西武5年目内野手を変えた秋山との自主トレ、水口の言葉

過去3年間は「本当にもったいなかった」も…「過去には戻れない」

 また、昨年の納会で水口に部屋に呼ばれ、2人で話をしたことも大きかったという。

「水口さんは去年ずっと上にいましたが『俺ができたんだから、一輝ができないわけがない。もっとできると思う。変わってほしい』と言われて、それで『はっ』と気が付きました」

 金子一はそれまでの自分を「本当にしょうもなかった」と振り返り、後悔をにじませる。

「今までは野球を仕事としてやっていなかった。今はしっかり向き合って、仕事として野球をやれていると思います。今こうしてしっかり練習に取り組んで、意識的に変わった自分が過去の自分を見た時に『本当にもったいなかったな』と思います。1年目はついていくだけだから別にしても、2年目から4年目は本当に無駄にしてしまった。でも過去には戻れない。だからこそ、1日をやり切ろうと思っています」

 心を入れ替えて挑んだ今シーズン、4月にはファームで4割近い打率をマーク。5月12日にプロ入り初昇格を果たすと、5月22日の敵地ソフトバンク戦では、プロ入り初安打となる本塁打を放った。

「(初本塁打は)入るとは思っていなかったので、よくわからないままベースを回りました。もっと雰囲気を感じて走ればよかったです。ビジターの試合は、練習の時にお客さんが見えちゃって、めっちゃ緊張しました。人生で初めてバッティング練習で空振りしました(笑)。でも、子供の頃によく行っていた東京ドームのグラウンドにも立てて、嬉しかったです」

 6月1日に出場選手登録を抹消されたが、1軍で確かな手応えを掴んだ。今は、新たに見つかった課題に向かい、少ないチャンスの中で結果を残し、1軍に定着することを目標に置く。

「ファームの投手に比べて、1軍の投手の決めに来る変化球はそう簡単に打てる球じゃないと思いました。追い込まれてからのアプローチの仕方は変えていかなきゃいけないと思います。次に上に上がった時は、また変わった姿を見せられたらと思います」

「休みの日はずっと家で寝ています。遊びに行きたいんですけど、体が動かなくて…」。そう笑いながら話す23歳は、日々の練習の積み重ねが結果に現れたと信じ、過去の分までバットを振る。

(篠崎有理枝 / Yurie Shinozaki)

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