7月だけでトレード2件、4人を補強したホークス 滲むチームの窮状

支配下昇格の大竹は8月1日の西武戦で先発見込み

 育成だった大竹の支配下昇格も、この先発陣の駒不足に起因する。8月上旬には東浜の復帰、ないし獲得したミランダの初先発を見込んでいたが、万全の状態に仕上がらず、復帰は先送りに。今季、一度スクランブルで先発した中継ぎの岡本も右肘違和感で離脱。先発ローテに穴が出来たこともあり、ウエスタンリーグで8勝負けなしの好成績をマークしていた大竹に白羽の矢を立てた。大竹は8月1日の西武戦(メットライフD)で初登板初先発する見込みだ。

 松田遼馬の獲得は、苦しい状況にあるリリーフ陣を立て直す狙いだ。岩嵜、サファテが故障で戦線を離れており、ただでさえ救援陣は苦しい状況にあった。さらに先発陣の不振、工藤公康監督、若田部健一投手コーチらピッチングスタッフの矢継ぎ早の継投も散見され、リリーフ陣の登板は嵩んでいた。

 モイネロが不振のために登録を抹消され、加治屋も登板数が増え、打たれる試合が増えてきた。ここから投手陣の疲労が出てくる8月に入る。先発もこなせる左腕を求めた阪神との思惑が合致し、リリーフ陣に厚みを持たせるために松田遼の獲得に動いた。

 美間の獲得だけは若干、ほかの補強とは思惑が異なる。美間は今季即戦力となることよりも、将来的な大砲候補としての獲得という狙いが強い。“強打の内野手”はソフトバンクにとって、ここ数年ずっと言われてきたチームの課題。松田宣浩、内川聖一の後継者となるべき右の強打者の育成は急務だった。

 ファームには茶谷健太や黒瀬健太といった候補もいるが、候補者は多いに越したことはない。対照的に広島に移籍した曽根海成のような俊足巧打タイプの内野手、現在1軍でスタメンを張る今宮健太、牧原大成しかり、今季1軍デビューを果たした川瀬晃や高田知季、三森大貴と、似たタイプの選手がいる。将来を見据えた上での戦力バランスを整える上でのトレードと見える。

 7月だけで4選手の補強に動いたソフトバンク。現在、2位の日本ハムとは5.5ゲーム差、首位の西武とは8.5ゲーム差となっている。どこまでその差を詰め、そしてひっくり返せるのか。駆け込み補強の成果も、その鍵を握っている。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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