「すごく近くなっている」メジャーへの距離 ヤンキース6年目、加藤豪将の今

「夢は『ヤンキースタジアムのセカンドにいる自分』。それしか考えていない」

 このトーレスとは一緒にプレーした経験はないものの、現在のヤンキースを主力として支える選手たちとは、マイナーリーグで一緒に汗を流してきた。

「ジャッジ、バード、セベリーノ、サンチェスとプレーしたことがありますが、そういう選手がメジャーのレベルで活躍している。自分も同じことやりたいなと思います」

 昨季のリーグ本塁打王&新人王のアーロン・ジャッジ、一塁手のレギュラーで主軸を任されるグレッグ・バード、今季サイ・ヤング賞獲得も期待されるエース右腕のルイス・セベリーノ、そして、正捕手でありながら4番を打つことも多いゲーリー・サンチェス。まさに、現在のヤンキースを牽引する若きスターたちだ。

 特に、昨年スーパースターとしての地位を確立したジャッジは同じ2013年入団。ドラフトではジャッジが1巡目、加藤が2巡目だった。もっとも、かたや大卒、かたや高卒と年齢は離れており、水を開けられたという見方は正しくない。2Aでは同世代の選手も多いものの、現在のロースターの平均年齢は24.5歳で、加藤はまだ若い部類に入る。これからの選手ということだ。

 今年のスプリングトレーニングでは、初めてメジャーのオープン戦に呼ばれ、ベンチ入りも経験した。これも期待の表れと言える。

「スタンドで見るのとは全然違いました。フィールドで違うのがよく分かりました。やっぱり野球のレベルが上がるほどスピードが変わるというのが。走るスピードだったり、投げるスピードだったり、メジャーの選手は速いんですけど、しっかりゆっくりとプレーできるというのがよく分かって。その中でもみんな落ち着いてにプレーしていました」

 最高レベルのプレーを“肌”で感じて、得るものは多かったようだ。

 あと2つのステップ。メジャーに昇格するために必要なものは何なのだろうか。加藤は「(課題は)本当にすべてなんですけど……」と言いつつ「一番難しいのはメンタルだと思います」と自己分析する。

「野球のスキル的には本当にもう少しだけなんですけど、やっぱりどんどん上がっていくとチームメートでも分かるんですけど、メンタルの強さが全然違うので。それは1つの課題です」

 今季、衝撃的なデビューを果たした同い年の大谷ら、日本で圧倒的な成績を残して海を渡った多くの日本人投手が、現在米国で奮闘している。全く違う道を歩んで地道に這い上がってきた加藤がメジャーデビューを果たし、対戦が実現すれば、間違いなく注目を浴びることになるだろう。だが、まずはその舞台に辿りこと。加藤はそれしか考えてない。

「やっぱりメジャーに行くのが自分の目標。本当にどのピッチャーと対戦したいとかじゃなくて、夢は『ヤンキースタジアムのセカンドにいる自分』。それしか考えていないです」

 ドラフト指名からメジャーへの道を切り拓く日本人野手。“パイオニア”として、加藤は確実に歩みを進めている。

(Full-Count編集部)

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