接戦制した龍谷大平安の機動力と八戸学院光星のOPS…データで見る甲子園

セイバー目線で甲子園を分析
セイバー目線で甲子園を分析

明石商はストライクゾーンのコンタクト率が98.4%も…

 土曜日で祝日、さらに甲子園100勝がかかった龍谷大平安の試合が第1試合に組まれるなど、4試合すべてで4万人超の観客動員となった夏の高校野球第7日目。1点差ゲームが3試合と接戦が目立ったこの日の試合をデータで振り返ってみましょう。

○攻撃指標
OPS 出塁率+長打率
wOBA 1打席あたりにどれだけチームの得点に貢献したかを表す指標
O-swing% ボールゾーンのスイング率
Z-swing% ストライクゾーンのスイング率
Z-contact% ストライクゾーンのコンタクト率

【鳥取城北】
得点2 打率.242 出塁率.286 長打率.303 盗塁 0/2
OPS .589  wOBA .264
O-swing% 20.3%  
Z-swing%  68.1%   
Z-contact%  81.6% 

【龍谷大平安】
得点3 打率.241 出塁率.371 長打率.310 盗塁4/5
OPS .682  wOBA .353 
O-swing%  22.9%  
Z-swing%  71.9%   
Z-contact%  84.8%   

 大会2試合目のサヨナラゲームという劇的な幕切れで甲子園通算100勝を達成した龍谷大平安と、最後まで粘りを見せた鳥取城北の打撃指標を見ると、打率はほぼ互角なのですが、OPSやwOBAなどの指標で龍谷大平安がリードしています。また盗塁数が龍谷大平安の4つに対し、鳥取城北が0と機動力にも差が出ています。本当に若干の差ではあるのですが、1つ先の塁を奪う攻撃の差がその点差に表れたのではないでしょうか。

【八戸学院光星】
得点9 打率.316 出塁率.409 長打率.526 盗塁0/2
OPS .935 wOBA .461
O-swing%  19.6%  
Z-swing%  64.9%   
Z-contact%  96.8%   

【明石商】
得点8 打率.351 出塁率.442 長打率.351 盗塁3/3
OPS .793  wOBA .388
O-swing%  7.7%  
Z-swing%  61.4%  
Z-contact%  98.4%   

 明石商はO-swing%が7.7%、Z-contactが98.4%というデータから、ボール球に手を出さず、ストライクゾーンに来た球はしっかりと当てていくという姿勢のバッティングであることが分かります。

 八戸学院光星は安打数では下回ったものの、明石商のヒットがすべて単打だったのに対し、八戸学院光星は本塁打2本と長打で効果的に得点を重ねました。OPSでは.935、wOBAでは.461と、それぞれ明石商(OPS.793、wOBA.388)を上回っています。

【報徳学園】
得点3 打率.321 出塁率.355 長打率.464 盗塁 0/0
OPS .819  wOBA .353
O-swing% 25.0%  
Z-swing%  72.6%   
Z-contact%  90.6% 

【聖光学院】
得点2 打率.313 出塁率.405 長打率.313 盗塁 2/3
OPS .718  wOBA .331
O-swing% 27.9% 
Z-swing%  62.7%   
Z-contact%  96.9%  

 こちらも1点差の好ゲームとなりました。報徳学園の1番打者・小園選手が大会タイ記録となる1試合3本の二塁打がすべて得点につながるという効果的な得点でした。その得点パターンは二塁打→2番・村田選手の犠打で三塁に進塁→3番・長尾選手がランナーを返すというものでした。

【白山】
得点0 打率.200 出塁率.226 長打率.200 盗塁 1/3
OPS .426  wOBA .192
O-swing% 26.5%  
Z-swing%  56.1%   
Z-contact%  90.6% 

【愛工大名電】
得点10 打率.395 出塁率.395 長打率.632 盗塁 3/4
OPS 1.027  wOBA .443
O-swing% 31.9%  
Z-swing%  70.1%   
Z-contact%  93.9%  

 愛工大名電は1回裏、打者6人で3点を先制しましたが、この6人が白山の先発・岩田投手のボール球に一切手を出さず、しっかりボールを見極めて4安打を重ねました。しかし、点差がついてからは、攻撃が雑になったのか、投手の変化球のキレが良くなったのか、愛工大名電のO-swing%は結果的に31.9%まで跳ね上がりました。

 なお愛工大名電の1番・柳本選手、2番・西脇選手はともに5打数4安打の大活躍。特に西脇選手は本塁打1本を放ち、チーム1位の8塁打。上位打線に強力な打者を置く布陣となってチームの得点力を上げています。

 春夏通じて甲子園初出場の白山は散発6安打。しかもすべて単打と結果を残せず、スコアボードに得点を刻むことはできませんでした。

愛工大名電の秋山はキレのあるスライダーで18.8%の空振り奪取

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