育成のプロが見る花咲徳栄・野村の魅力 勝利を掴んだ横浜の「徹底した攻め」

光る野村の打撃「懐の深さ、ヘッドスピードを見ると、やはりバッター」

 一方で、花咲徳栄はエースの野村がKOされて連覇はならなかった。松井氏は、野村の打者としての能力を高く買っている。投手としては「プロ入りして投球フォームを直したら成長する可能性がある」と見ているものの、打者としての魅力が勝るという。

「懐の柔らかいバッティングです。懐の深さ、ヘッドスピードを見ると、やはりバッターかなと。センスも感じます。この日は詰まってファウルになる打球が多かったのですが、それがみんなスタンドに入る。スイングスピードが速いので、これはファウルフライでアウトだろうという当たりが全部スタンドにいってしまう。ただ、横浜バッテリーは一発は打たれたものの、徹底してインサイドに投げて、うまく攻めていたと思います。

 野村君はプロ入りしたら、どこを守らせるか。外野としては、かなりホームランが必要になってきますし、脚ももう少し欲しい。一塁は山川(西武)や井上(ロッテ)といった選手が出てきて、昔ほど外国人選手が多くなくなってきましたが、やはり長打が求められるポジションなので、ライバルは外国人選手になってきます。そう考えていくと、サードが最も可能性があると思います。ドラフトでの指名を考えている各球団もそういう評価をしているでしょう」

 その野村を中心に強さを見せてきた花咲徳栄との実力拮抗の勝負を制し、3回戦へと駒を進めた横浜。次は、1、2回戦で計27奪三振を記録した剛腕・吉田を擁する金足農と対戦する。いったいどちらが有利なのか。

「横浜が吉田君をどう攻略するか。横浜としては、他のチームが三振していたボールをどう見極めるかということになってきます。全部はできなくても、対策はきっちりと練ってくると思うので、見逃すボールはかなり増えるのではないでしょうか。吉田君の球数はもっと増えるかもしれません。横浜は、ピッチャーとバッターとの兼ね合いで、戦い方を使い分けることができるチームです。ただ、金足農も洗練された、いい形のあるチームです。面白い試合になるでしょう」

 厳しいブロックを勝ち抜き、ベスト8へと駒を進めるのはどちらか。総合力の高さを見せている横浜と大会屈指の剛腕が激突する試合は、3回戦屈指の好カードとなる。

(Full-Count編集部)

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