野球歴2年で侍U-15入りの逸材が初打席初本塁打! 「自分を信じるしかない」
前日のドミニカ共和国戦では先発した鈴木唯斗
パナマで開催されている野球の15歳以下の世界一を決める「第4回WBSC U-15ワールドカップ」は開催5日目の14日(日本時間15日)、オープニングラウンド第5戦が行われ、B組の日本は南アフリカに20ー0で5回コールド勝ちを収めた。日本は通算4勝1敗の2位となり、5勝のキューバ、3勝2敗のドミニカ共和国とともにスーパーラウンド進出を決めた。
投打が噛み合っての圧勝だった。投げては先発秋山恭平投手(筑後サザンホークス)が3回まで全てのアウトを三振で奪う10奪三振(振り逃げを含む)の好投。2番手の清田蒼陽投手(新城ボーイズ)も2回を1安打5奪三振の快投で、2四球で降板した初戦オーストラリア戦の悔しさを晴らした。
一方、打線は初回に4安打を放ち、4点を先制すると、2回、3回にも打者一巡の猛攻で6点ずつを追加。4回にも5連打で4点を加え、4回まで毎回の17安打20得点。今大会勝ち星のない南アフリカ相手に格の違いを見せつけた。また、2試合連続の先発全員出塁で、主将の4番・池田陵真捕手(忠岡ボーイズ)が4盗塁を決めるなど、前日の6盗塁に続き、この日も8盗塁。清水隆行監督が掲げる機動力野球を貫き、早々と試合に幕を下ろした。
新たなヒーローも誕生した。4回無死一塁から右越え2ランを放ったのは、前日13日のドミニカ共和国戦に先発し、3回2/3、7失点で降板した鈴木唯斗投手(SASUKE名古屋ヤング)。清水監督は鈴木の打力も評価しており、この日は野手として5番右翼で途中出場。大会初となる打席で、チームでは坂玲哉捕手(湖南ボーイズ)に続き、2人目となる本塁打を放った。
「昨日はチームに助けてもらったので、今日は自分のバットでチームを助けようと思った。相手投手は直球が多く、僕は直球に合っていなかったので、直球が来ると思っていた。力を抜いてセンター方向に打とうと意識していた」
小学校時代にはドッヂボールの選手として全国3連覇。だが、野球を始めたのは中学1年生からで、わずか2年で侍ジャパン入りを果たした逸材。鈴木は「ここまで来るのは難しかったが、2年半、誰にも負けないくらい本当に毎日練習し、自分が一番になってやろうと思ってやってきた。このチームはすごい選手もたくさんいて、打つことに関しては少し自信を無くしていたが、打席に入ったら自分を信じるしかないと思った。毎日努力した結果が本塁打につながったと思う」と、笑みを浮かべた。
清水監督は4勝1敗で終えたオープニングラウンドについて「緊張感のある中でスタートしたが、選手たちは初戦を何とかものにしてから少し落ち着きを取り戻し、まとまっていい形で頑張ってくれた」と振り返った。今大会はオープニングラウンドのA、B各組上位3チームがスーパーラウンドに進出。オープニングラウンドとは別の組の3チームと対戦するが、オープニングラウンドで同組だったほかの2つの進出国との対戦結果も加え、計5試合の勝敗で、決勝、3位決定戦に進出できるチームがそれぞれ決まる。つまり日本は1勝1敗からのスタートとなる。
A組では前日13日の2試合が雨で流れ、今日15日(日本時間16日)に行われる予定。14日を終えた時点で台湾が4勝1敗で首位に立っており、オープニングラウンド通過が決定。パナマ、米国が3勝1敗、ブラジルが2勝2敗で続いているが、勝敗で並んだ場合は当該チーム同士の勝敗、得失点率で順位が決まるため、パナマの突破もすでに決まっており、残る1枠を米国とブラジルが15日の直接対決で争う形だ。
日本は明日15日は、オープニングラウンド会場のチトレから、スーパーラウンド会場となるダビまでバスで約4時間かけて移動。拠点を新たにし、決勝進出を目指して16日からのスーパーラウンドに挑む。
(福岡吉央 / Yoshiteru Fukuoka)