ギア上げた金足農・吉田、9回の直球平均球速145.3キロ…データで見る甲子園
花咲徳栄はOPS、wOBAで上回るも…横浜・及川はスライダーでの空振り奪取率24%
◇横浜 8-6 花咲徳栄
◯攻撃指標
【横浜】
打率.314 OPS .775 wOBA .371 P/PA 3.57
O-swing% 23.0%(前試合 30.9%)
Z-swing% 72.4%(前試合 59.2%)
Z-contact% 76.4%(前試合 90.5%)
花咲徳栄 打率 .286 OPS .876 wOBA .392 P/PA 3.79
O-swing% 15.2% (前試合 24.1%)
Z-swing% 60.7% (前試合 58.6%)
Z-contact% 90.2% (前試合 97.6%)
◯横浜・及川雅貴投手の各指標
6回1/3 打者28 投球数98 WHIP 1.74
ストレート平均球速140.6キロ 最高145キロ
▼配給割合
高め 38.8%
中 14.3%
低め 46.9%
2試合通算 WHIP 1.64 GO/AO 1.00
夏連覇に挑んだ花咲徳栄の前に立ちはだかったのは、夏優勝2回の実力校、タレントも豊富な横浜でした。打率では横浜が上ですが、本塁打2本、四死球の数の差によりOPS、wOBAは花咲徳栄が上回っています。
横浜は序盤、花咲徳栄の野村投手のゾーンいっぱいに投げ分ける投球に対してタイミングがあっていませんでした。しかし、3回と4回、球がゾーンの中に集まるようになったところを逃さず連打を重ね、花咲徳栄の守備のミスにも乗じ7-1とリードを広げました。
しかし、花咲徳栄も終盤、本塁打2本などで追撃体制に入ると、最終回は横浜3番手・黒須投手の4四死球の乱調につけ込み2点差まで追い上げ、2死満塁一打サヨナラのチャンスを作りましたが、あと一本及ばず。
横浜の及川投手はスライダーで24%の空振りを取り、序盤の試合の流れを作りました。勝ち上がった横浜は次戦、金足農業との対戦です。Z-contact%などに不安が感じられますが、吉田投手との対戦が見ものです。
鳥越規央 プロフィール
統計学者/江戸川大学客員教授
「セイバーメトリクス」(※野球等において、選手データを統計学的見地から客観的に分析し、評価や戦略を立てる際に活用する分析方法)の日本での第一人者。野球の他にも、サッカー、ゴルフなどスポーツ統計学全般の研究を行なっている。また、テレビ番組の監修などエンターテインメント業界でも活躍。JAPAN MENSAの会員。近著に『統計学が見つけた野球の真理』(講談社ブルーバックス)『世の中は奇跡であふれている』(WAVE出版)がある。