6失点から7連続三振へ 稲福の投球を変えた河端コーチのアドバイス「遊び心を」
ボールの変化で“壁”も成長 コーチ「本当に立派な投球」
台湾・台北で開催されている「第10回 BFA U12アジア選手権」は18日、セミファイナル2戦目が行われた。予選グループA2位の日本は、同グループB2位のパキスタンに16-1の4回コールド勝ち。大会最終日の19日は3位決定戦で再びパキスタンと対戦する。
先発・稲福倫汰は1回の3アウト目から7者連続で三振を奪ってみせた。「初回は変化球が全然、かからなかった」と、先頭打者に死球。その後、安打を浴び、暴投で1点を失った。それでも見逃し三振で3アウト目を奪うと、「2回からは1回のピッチングの反省をして投げた」と三振の山を築いた。7連続三振に「めっちゃ嬉しいです」と笑顔が弾けた。
予選ラウンド初戦のチャイニーズ・タイペイ戦では3回途中から2番手で登板。無死二、三塁から連打を浴びるなどし、14球で6点を失い、逆転を許した。今大会は新軟式球のM号が使われているが、普段は旧ボールのC号を使用しており、ボールの変化もあった。「ちょっと壁にぶつかっているような感じがあった」と、元ヤクルトの河端龍コーチは稲福の様子を振り返る。
また、チーム全体がそうであるように「楽しいことは何でもやりたい」という明るい性格だが、気持ちに余裕がなくなって硬くなり、ストライクを取りにいって打たれた。変化球もまだ使える状態ではなかった。「元々、ストレートに力がある子。(今大会は)変化球を使えるといっても投げたことがなかったので、能力はあるんですけど、不器用なところもある」と河端コーチ。現地でスライダーの練習を積んだのはもちろん、リラックスして自分の投球ができるよう、2日前の練習で「遊び心を持ってやろうね」と話したという。
「(稲福自身が)いろいろと試行錯誤しながらやってきて、それがいい形で出たと思います。遊び心を持つことは、今までの殻を破る時には必要だよという話をしてきました。それがいい吸収の仕方をしてくれたのかな。(稲福は)ちょっと遊び過ぎるところがあるので、締めながらやっていたんですけど(笑)。今日は本当に立派な投球をしてくれましたね」
稲福本人に「あと4日早く、お前の性格に気付いていたらなぁ。俺がお前の性格に気付ききれなかったよ」と話した河端コーチは、「今日みたいな力があるんだから、それを継続してできるようにね」と今後に期待した。仁志敏久監督も「立ち上がりと途中からと、全然違うんですよ」と言い、「自分がいけると自信が持てるまでは不安を持ちながら投げたりしている。自分で持っているものを引っ張り出す力を持ってくれたらいいなと思います」と話した。
大会を通して成長の跡を見せた稲福。この日の投球を自信に、19日は3位決定戦のパキスタン戦に挑む。「まだバッティングではいいところを見せていないので、明日(19日)はバッティングでいいところを見せたいです」と意気込んだ。
(高橋昌江 / Masae Takahashi)