どうなる、金足農・吉田VS大阪桐蔭打線 準決勝の両校のデータは…
大阪桐蔭打線はストライクゾーンのコンタクト率94.6%
◇大阪桐蔭 5-2 済美
◯攻撃指標(カッコ内は3回戦までの平均)
【大阪桐蔭】
打率 .333(.310)
OPS .753(.936)
wOBA .368(.419)
P/PA 3.58(3.69)
O-swing% 18.3%(18.7%)
Z-swing% 56.9%(61.6%)
Z-contact% 94.6%(85.0%)
【済美】
打率 .212(.287)
OPS .520(.751)
wOBA .272(.356)
P/PA 4.19(3.76)
O-swing% 26.9%(28.7%)
Z-swing% 70.1%(65.0%)
Z-contact% 75.9%(90.9%)
◯大阪桐蔭・柿木蓮投手の各指標
打者37 投球数155 WHIP 1.11
ストレート平均球速140.3キロ 最高147キロ
Zone% 47.1% 空振り奪取率14.8% 見逃され率14.8%
11安打の大阪桐蔭ですが、長打は二塁打1本のみといういつもの長打で畳み掛ける打線とは違う様相を呈していました。
P/PAなどの各打撃指標を見ると、狙い球を絞って積極的にバットを振って確実に当てていく大阪桐蔭に対し、球数は投げさせてはいるものの、追い込まれてからのバッティングに結果が出ない済美という構図が見えてきます。大阪桐蔭のZ-contact%は94.6%とかなりの高確率で、バットコントロールできていることを表していますが、斉美のZ-contact%は75.9%。つまりストライクゾーンにきた球を振りにいっても4分の1は空振りをしている状態です。
1回戦以来の完投で、チームを勝利に導いた柿木投手ですが、この試合では
ストレートにおける球速145キロ以上の割合 15.6%
ストレートでの空振り率 13.3%
スライダーでの空振り率 18.4%
フォークでの空振り率 14.3%
と直球のノビ、変化球のキレともに申し分のない数値を残しています。
ちなみに第1試合での金足農業・吉田投手の145キロ割合は10.5%、空振り率も10%以下といつもより低い数値となっています。これは全試合完投による疲労と見るべきか、決勝への温存と見るべきでしょうか。
鳥越規央 プロフィール
統計学者/江戸川大学客員教授
「セイバーメトリクス」(※野球等において、選手データを統計学的見地から客観的に分析し、評価や戦略を立てる際に活用する分析方法)の日本での第一人者。野球の他にも、サッカー、ゴルフなどスポーツ統計学全般の研究を行なっている。また、テレビ番組の監修などエンターテインメント業界でも活躍。JAPAN MENSAの会員。近著に『統計学が見つけた野球の真理』(講談社ブルーバックス)『世の中は奇跡であふれている』(WAVE出版)がある。