これだけ苦しんでいるのは不思議? ホークス武田の不振の要因を数字で探る
数字面での不振の要因は?
まず、守備などの運に左右されやすい要素を極力取り払い、奪三振、与四死球、被本塁打といった要素を評価することで、防御率等と比較した際により純粋な投手の能力を表しているとされている指標の「FIP」について見ていきたい。
武田が今季残しているFIPは3.817。防御率(4.73)よりも1点近く優れた数値となっており、実際の投球内容は防御率から来るイメージほど悪化しているわけではないようだ。
次に、四球ひとつに対してどれだけ三振を奪えるかを示す指標であり、FIPと同じく運に左右されにくく投手の投球内容を表しやすい数値とされている「K/BB」を見ていきたい。
武田が今季記録しているK/BBは2.64であり、優秀とされる3.50には及ばないものの、そこまで悪い数値でもない。投球内容を示す2つの指標が及第点を下回るレベルにまで悪化しているわけではないことから、武田の純粋な投球内容が極端に悪化したわけではないことがうかがえる。
次に、本塁打を除くグラウンド内に飛んだ打球がヒットとなる確率を表す指標であり、一般的に運に左右される部分が大きいとされるBABIPについて見ていきたい。
武田が今季記録しているBABIPは.300と平均値にあたる3割という計測結果が出ている。しかし、2回7失点と大乱調だった7月18日の登板以前の数値は.288と平均値を下回っており、運が悪いどころかむしろ運に恵まれていたという結果となっていた。
BABIPは長いスパンで見れば平均値の3割近辺に収束していくとされており、現在も平均値に位置している以上、他の指標を参照することで改めて武田の運について考えていく必要がありそうだ。
そこで、出塁した走者に得点を許さなかった割合を示す値であり、BABIPと同じく運の要素が大きく絡むとされている「LOB%」という指標を確認していきたい。
武田が今季残したLOB%は.616と、平均値である.700~.720を1割近く下回る数値となっている。昨季の値が.759と平均値をやや上回っていたことを勘案すると、今季の武田が運に恵まれていないことがこの指標によってより鮮明に浮かび上がってくるのではないだろうか。