試合の勝敗に関わらずファンを満足させたい 楽天が実践するスタジアム作り

勝っても負けても「来てよかった」と言ってもらえるスタジアム作り

 また、この日は『インクレディブル・ファミリー』をテーマとした企画も多数実施された。「特製クリアファイル」、「インクレディブル風アイマスク」が配布され、試合では場内ビジョンにキャラクターが登場する演出も施された。

「『Mr.インクレディブル』の続編ということで、ファンの方も待ち望んでおられた作品だと思いますし、このイベントで楽しい思い出を作っていただきたいなと。特にお子様向けのイベント内容になるように、力を入れました」と語ってくれたのは、楽天野球団で「パ・リーグ 親子ヒーロープロジェクト」を担当する上平氏だ。

「扇屋商事 presents Go!Go!花火」と題した花火の打ち上げも行われ、賑わいを見せたこの日だったが、残念ながら楽天は敗戦。しかし、ここで「負けてしまった悔しさ」が、試合観戦の思い出のすべてになってしまわないのが、楽天生命パーク宮城の強みだ。

 試合終了後にはグラウンドが開放され、「納涼ベースランニング」が行われた。カッパを着たクラッチとクラッチーナ、東北ゴールデンエンジェルスに水をかけられながら、誰もが笑顔でダイヤモンドを駆け抜けていく。「楽しんでいただけているようでよかったです」と、胸を撫で下ろすスタッフの横顔が印象的だった。

 スタジアムやイベントの充実度が、肝心の試合結果を左右することはできない。勝つか負けるか、どんな後味が待っているのかは誰にも分からない。試合の勝敗が来場者の満足度をほとんどすべて決める。これはスポーツの宿命ではあるが、スタジアムやイベントでの体験が満足度をカバーすることも可能だろう。

 前述の宮澤氏は「楽天イーグルスは負けちゃったけど、イベントが楽しいからまた行こうと思っていただけるような環境作りを積極的に行っています。エンターテインメントの面で、お客様を楽しませることは忘れてはいけない要素なので。勝っても負けても、我々は一貫してお客様に楽しんでもらえる空間作りを心掛けています」と力を込める。

 勝っても負けても、一貫してお客様に楽しんでもらえる空間作り――。子どもたちの需要を敏感に察知した「イーグルスプラッシュ」しかり、「パ・リーグ 親子ヒーロープロジェクト」しかり、「納涼ベースランニング」しかり。楽天生命パーク宮城はそのスタンスを確かに実践している。

 だからこそ筆者は、改めて声高に主張したい。楽天生命パーク宮城は素晴らしい。観覧車をバックにした美しい景観、斬新な企画、行き届いたサービス。そして何よりも、「勝っても負けてもぶれない」エンターテインメントは、試合結果に感情を左右される1日を、それでも必ず得難い思い出にしてくれる。

※「夏スタ!納涼夏まつり」のアトラクションは一部有料。その他の詳細については、球団WEBサイト「夏スタ!」特設ページに。スマイルグリコパークの「夏スタ!」特設アトラクションは26日まで、お化け屋敷「深紅の怪奇水族館」は9月2日まで。

(「パ・リーグ インサイト」馬塲呉葉)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

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