「視野の広さは誰にも負けません」臨機応変な対応と気遣いが光る5年目なつきさん
「5位までに入ればお客さんも喜んでくれると思うので」
マリンスタジアムと言えば、名物は海から吹きつける強風だ。グラウンド上の試合展開だけではなく、スタンドを主戦場とする売り子たちにも大きな影響を及ぼす。長身で細身のなつきさんは「風が強い日には体が持っていかれます」と苦笑い。同時に、強風の日は細やかな気配りが必要になるという。
「ビールを注いでいる時に泡が飛んでしまうこともあるので、その配慮も必要ですし、自分が少しよろけた時、もし近くに小さいお子さんがいたら危ないので、そこにも気を配りますね。よろけないためにも、前傾姿勢になって踏ん張る力が大事。体力も気配りも必要な強風の日は、私は雨の日より辛いと思っています」
ロッテは昨季リーグ最下位に沈んだが、今季はクライマックスシリーズ進出に向け、激しい戦いを繰り広げている。売り子を始めてから一層野球が好きになったというなつきさんは、ビールを売りながら今年の盛り上がりを肌で感じている。
「ここ数年に比べてお客さんが増えていますね。お客さんが多い方が楽しいし、ロッテの勝利とか点が入った時の喜びを分かちあえるのがうれしいです。一番好きなのは角中(勝也)選手。渋いってみんなに言われるんですけど(笑)、今年は交流戦の首位打者だったんで超うれしかったです。怪我をしてしまって、交流戦に間に合わないかもって心配してたんですよ。角中選手の打席になると、売り子をしながらチラッと見ちゃいます」
来年からは就職し、社会人としてデビューする。これまで夏休みの予定はロッテの試合スケジュールに合わせて決めていたが、「今年がラストイヤーです。めちゃめちゃ寂しいです」。最後の年に開催された売り子ペナントレースでは、現在5位。優勝といかないまでも、トップ5入りを果たしたいという。
「お客さんも『なつきちゃん、ハワイ行ってよ』って応援してくれる。だから、5位までに入ればお客さんも喜んでくれると思うので」
お客さんに感謝の気持ちを伝えるためにも、1つでも順位を上げてゴールを迎えたい。
(Full-Count編集部)