ミスはどの程度出塁と得点に絡むのか? 失策を数値化してみると…
失策の走者を得点に結びつける率の高い西武、巨人、広島
さて、このデータに関連して、番組のリスナーからご質問のメールをいただきました。
「失策によって出塁したランナーをどのチームが最も多く得点にしているのでしょうか?」
つまり相手のミスに最もつけこんでいるチームを知りたいとのこと。そこで失策により出塁したランナーが得点を記録している例と、失策出塁がいわゆるタイムリーエラーになった例に分けて集計してみました。
◯パ・リーグ
楽天
失策出塁34 得点10 タイムリーエラー8(52.9%)
西武
失策出塁27 得点12 タイムリーエラー2(51.9%)
ロッテ
失策出塁32 得点9 タイムリーエラー5(43.8%)
ソフトバンク
失策出塁30 得点10 タイムリーエラー3(43.3%)
オリックス
失策出塁35 得点5 タイムリーエラー9(40.0%)
日本ハム
失策出塁25 得点3 タイムリーエラー2(20.0%)
◯セ・リーグ
巨人
失策出塁40 得点15 タイムリーエラー10(62.5%)
ヤクルト
失策出塁38 得点12 タイムリーエラー10(57.9%)
広島
失策出塁46 得点15 タイムリーエラー11(56.5%)
阪神
失策出塁39 得点14 タイムリーエラー7(53.8%)
中日
失策出塁44 得点12 タイムリーエラー10(50.0%)
DeNA
失策出塁34 得点9 タイムリーエラー7(47.1%)
リスナーの方のご質問に答えるならば、27の失策出塁のうち12のランナーを得点にした西武が「最も相手のミスにつけこんで得点にした割合が多いチーム」といえるでしょう。セ・リーグでは巨人と広島が相手のミスにつけこんで得点しているチームと言えます。逆に日本ハムは失策出塁が得点に絡んだ割合が20%と、最も低い数値となっています。
なお、「失策」は、公式記録員の判断によって記録されるもので、簡単な打球の処理をミスしたものだけでなく、普段の守備範囲よりも広い範囲において取り損ねたものもエラーとして記録されたりします。なので、「エラーが多い」と「守備が下手」は一概にイコールにはならないことはご承知おき願いたいところです。事実、西武のエラー数はリーグワーストですが、DERはリーグ2位。ショート源田、セカンド浅村をはじめとする守備陣の貢献は少なくないのです。
鳥越規央 プロフィール
統計学者/江戸川大学客員教授
「セイバーメトリクス」(※野球等において、選手データを統計学的見地から客観的に分析し、評価や戦略を立てる際に活用する分析方法)の日本での第一人者。野球の他にも、サッカー、ゴルフなどスポーツ統計学全般の研究を行なっている。また、テレビ番組の監修などエンターテインメント業界でも活躍。JAPAN MENSAの会員。近著に『統計学が見つけた野球の真理』(講談社ブルーバックス)『世の中は奇跡であふれている』(WAVE出版)がある。