優勝した韓国に欠けていたスポーツマンシップ 監督「配慮が足らなかった」
散乱したペットボトルとグラブをチームの誰も拾わず
そこまではいい。問題はここから、だ。韓国ナインはこのペットボトルをグラウンド上に次々に放り投げた。中には手にしていたグラブをグラウンド上に放り投げる選手もいた。そのままチャイニーズ・タイペイの選手と握手し、一塁スタンドの韓国人ファンに一礼すると、ベンチへと引き上げていった。
マウンド付近に散乱したペットボトル、そして内野に転がるいくつかのグラブ。誰も片付けにいかないし、拾いにもいかない。この後には閉会式が予定されており、そのための準備がスタート。運営サイドのスタッフがグラウンドに駆け出し、この散乱したペットボトルとグラブを拾い集めることとなった。国民性も文化も違う他国に同じ考えや行動を求めるのは違うが、アスリートとして最低限の礼儀とマナーはあって然るべきではないだろうか。
この大会はアジアの頂点を決める大会であると同時に、アジア圏における野球文化の発展と振興も大事な開催意義の1つである。今大会に参加した7か国のうち、日本と韓国、チャイニーズ・タイペイは、他の中国、スリランカ、インドネシア、香港という野球“発展途上国”にとってお手本、見本となる役割がある。この韓国の振る舞いを見て、例えば、ひたむきなプレーを見せていたスリランカの選手たちはどう思うだろうか。
試合後、この行為を指摘された韓国のキム・ソンヨン監督は「若い子たちが興奮してしまっていたのだろう。配慮が足らなかった。あとで選手たちには言いたい。(グラブは)韓国でも大事にするように教えられている。興奮してやってしまったんだと思う」とバツの悪そうな表情を浮かべていた。
今大会の韓国代表は強く、ポテンシャルの高い将来有望な選手たちが数多くいた。優勝するに十分に値するチームであった。だからこそ、自らでその価値を落としてしまう、“バッドウイナー”な振る舞いが残念でならなかった。