今やりたいことは「練習です」 根尾昂、驚きの向上心と“職人”の空気
「バッティングも、ピッチングも、守備も全てです」
ただ、大会期間中、根尾の口からは満足感を示す言葉はほとんど発せられることはなく「まだまだ」「技術不足」といった向上心に溢れたコメントが並んだ。大会が終わった10日の中国戦後には「ミスショットがまだまだあるんで、代表はこれで終わりますけど、それぞれがチームに戻って課題を克服できるようにやっていこうと思います」「悔しさも正直残っていますし、勝たないといけない試合を落とした大会だった。課題も明確になってますし、この悔しさを次に生かしてやっていかないといけない」と語った。
そして、最も驚かされたのが、次の発言だった。7月から大阪府大会が始まり、春夏連覇を果たした甲子園、そして休む間も無く侍ジャパンU-18代表の活動と、約2か月にわたって怒涛の日々を送ってきた。間違いなく疲労もあるだろう。30日からは福井国体も控えている。
つかの間の休息を欲しても何らおかしくないのだが、中国戦直後、インタビュアーから「今やりたいこと」を問われた“根尾さん”は「練習したい」と即答した。「バッティングも、ピッチングも、守備も、全てです」と話し、アジア選手権を通じた感想としても「技術不足が一番だと思いますし、打たないといけない投手に対して打ち損じをしていましたし、技術不足だと思います」と語っていた。
「日本の野球とは違う野球を経験させていただいて、日本よりも広い野球というか、ベースボールというのを経験させてもらった。その中で勝てなかったというのはあるので、次は絶対に勝てるように、今大会の経験を生かしてもっともっと上のレベルでプレーできるようにやっていきたいと思います」と根尾は語る。練習中に1人、仲間の輪を離れてスイングのチェックを行う姿は18歳にして“職人”の雰囲気すら醸し出す。根尾昂。この経験を糧にして、もっともっとスケールの大きな選手となっていくだろう。
(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)