サヨナラボークで優勝決定!? 米マイナーで珍事発生 投手がよろけて試合決着
ファンも同情「勝つも負けるも最悪の形」
野球は試合が終わるまで、何が起こるかわからない――。言い古されたこの言葉を地で行く珍事が、米マイナーリーグであった。
11日(日本時間12日)に行われたノースウエストリーグ(1A-)のプレーオフでのこと。カブス傘下ユージーンとレンジャーズ傘下スポケーンは、勝った方がチャンピオンに輝く大事な一戦を戦っていた。9回裏に2-2の同点に追いついたユージーンは、なおも2死満塁の絶好機。サヨナラ勝利の大チャンスで打席に立ったのは、打率が3割を超えるネルソン・ベラスケス。まさに、やるかやられるか。そんな手に汗握る場面で、信じられない出来事が起こった。
なんと、投球動作に入ったスポケーンのエマニュエル・クラセ投手が途中でバランスを崩し、ボールを持ったままよろけてプレートを離れてしまったのだ。当然、審判の判定は反則投球で「ボーク」。走者には進塁が指示され、三塁走者がホームイン。これが決勝点となり、ユージーンがまさかのサヨナラ勝利を飾った。劇的な決着に、ベラスケスは打席で万歳。選手全員がベンチを飛び出して喜ぶ中、スポケーンのバッテリーは肩を落として引き揚げていった。
MLB公式サイトの動画コーナー「Cut4」が、このシーンを動画配信すると、ファンからは悲喜こもごも入り交じったコメントが寄せられた。
「これは勝つにも負けるにも最悪の形だ」
「捕手の反応が全てを物語っている」
「何やってんだ! ボールは投げるためのものだろ!」
「チャンピオンシップでこの負け方はキツイね」
「投手にとってこれ以上に最悪な気分はないだろう。僕も四球でサヨナラ負けしたことがあるけど、それとは比べ物にならないくらい最悪な気分だろう」
「この痛みは冬になっても忘れられないね」
「これは冗談だよね? 映画か何かだよね? 現実のわけがない!」
「あぁ、これはとても辛いね」
日本では、1998年の第80回全国高校野球選手権大会2回戦で、豊田大谷(東愛知)が延長15回に宇部商(山口)藤田投手のボークでサヨナラ勝ちしたシーンが有名だが、この時はセットポジションを途中で解いてしまったもの。今回のように、よろけてボールが投げられずにサヨナラボークというのは珍しいケースだ。
思わぬ形でチャンピオンになったユージーンはここ3年で2回目のリーグ優勝となったが、実はレギュラーシーズンでは31勝45敗でリーグ最下位。「バッド・ニュース・エムズ」と呼ばれたほどだが、シーズンを前後半に分けるノースウエストリーグで、後半戦のワイルドカードに勝利してプレーオフに進出した。借金14の最下位からのリーグ制覇に、「Cut4」の記事では「このチームは、ポストシーズンに進出すれば何でも起こりうるということを証明した」と締めくくった。