「北海道を元気に」4番中田が意地の決勝打「皆さんと笑って終わりたい」

日本ハム・中田翔【写真:石川加奈子】
日本ハム・中田翔【写真:石川加奈子】

1点ビハインドの6回1死一、三塁で左中間を破る2点適時二塁打

■日本ハム 4-2 オリックス(17日・札幌ドーム)

 日本ハムの中田翔内野手が17日、本拠地でのオリックス戦で逆転の適時二塁打を放った。2点ビハインドで迎えた6回、3番近藤健介の適時打で1点を返し、なおも1死一、三塁の絶好機。大歓声を一身に浴びながら打席に向かった中田が、1ボールからの2球目、オリックスの比嘉が投じたスライダーを完ぺきに捉え、打球はライナーで左中間を深々と破った。

「前のバッターに毎回チャンスをつくってもらっているのに、ここ何試合かチャンスをつぶすことが多かったので、意地で打ちたいと思っていました。すぐに抜けたと分かったので、良かったです」

 一塁走者の近藤もヘッドスライディングで本塁に生還。決勝の2点適時二塁打となり、お立ち台で率直な心境を吐露した主砲に約2万8000人のファンは大興奮で大きな拍手を送った。

 北海道胆振東部地震後、初めて開催された本拠地4連戦。初戦を取った後は2連敗と苦しい試合が続いていた。中田自身も前日までの3試合は12打数1安打1打点と苦しんでいただけに「野球の力で北海道を元気にしようと言っている中、情けない試合が続いていたので、意地でも勝ってやろうという気持ちが選手みんなにありました。勝って良かったです」と穏やかな笑みを浮かべた。

 主砲の一打に栗山英樹監督は「感動しましたね。なかなか結果が出ず、背負い過ぎているなと思って見ていたので」と目を細めた。監督就任1年目の12年から中田を4番に固定し「4番はチームを勝たせる責任がある」と伝え続けてきた。その4番が一振りで試合を決め「背負い過ぎると苦しくなるに決まっている。でも、それはいいことだよね。いろんな責任を背負って、何とかしなきゃとたくさん思うことが、人としての深みや大きさをつくってくれると思う」と、中田の成長を心から願う親心を明かした。

 この日は、文字通り4番がチームを勝たせた。栗山監督は「何度も言うように、大事なゲームになればなるほど、主役しか試合を決められない。それを翔も分かっていると思う」とうなずく。責任の重さにもがき苦しみながらも一歩ずつ前進してきた中田は、お立ち台で被災した北海道のファンに力強く約束した。「勝って、勝って、勝ち続けて、最後に皆さんと笑って終わりたい」。4番の宿命を真っ向から受け止め、この先もチームに勝利をもたらしていく。

(石川加奈子 / Kanako Ishikawa)

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