【パ・リーグお仕事名鑑】空っぽの棚がやる気の源――楽天グッズ担当5年目・元バドミントン女子の挑戦
意外な商品がヒットする驚き 新しい発見の毎日
プロ野球のこともグッズのことも、ほとんど知識のない状態で入社した富岡さんにとって、入社当時は新たな発見の毎日だった。
「タオルや応援バットは見たことがあったのですが、普段使いできるような小物やゴルフグッズなど野球に関係ないものもたくさんあって、『グッズってこんなにいっぱいあるんだ』と、種類の多さに驚きました。ただ、当時のグッズはまだ野球が好きな男性向けのものが多くて、女性が買いたくなるようなものは少ないなと感じました」
普段、ナイターがある日は11時頃に出社して、必要があれば午前中のうちに発注を済ませる。その後は在庫確認などをして、14時過ぎにはアルバイトスタッフとともにミーティングを行い、15時オープンに向けての最終確認に入る。
「試合の1時間半くらい前になると一気にお客さんがいらっしゃるので、ショップへの入場規制をかけさせていただくこともあります。お客さんが怪我をされないように、入場を止めたり規制を解除したりするタイミングはかなり注意深く確認します。新商品が発売することを予めニュースでお知らせしている時には、オープン前に長蛇の列ができることもあるので、早めに開けるなど臨機応変な対応が求められます」
18時に試合が始まると一旦客足は落ち着くが、試合終了後は再び多くのお客さんが来店する。特に勝った日は遅くまで賑わうが、それでもだいたい22時半前後には閉店となり、富岡さんの仕事が終わるのはアルバイトスタッフを見送った後、夜中の24時くらいになるそうだ。
「当日入荷の商品もあり、急いで検品して値札付けするなどオープン前は結構バタバタすることも多いですが、その棚が空っぽになっているのを見ると、ああよかったなと思いますね。『買えてよかった』と喜んでいるお客さんの姿を見た時にも、もっと喜んでもらえる商品を出せるように頑張ろうと思います」
グッズ担当も今年で5年目となる富岡さんだが、売れるか売れないかは棚に置いてみるまではわからないという。最近では、釣りグッズが女性ファンにも好評だったことにとても驚いたそうだ。
「選手たちの趣味や特技とコラボする『イーグルス部活動』という企画があって、釣り部とのコラボ商品で魚の形をしたグッズを出したのですが、正直サンプルを見た時には『こんなの売れるのかな』と思いました(笑)。でも、実際にはそのコーナーに人だかりができて、すぐに完売してしまったんです。しかも若い女性まで買ってくれていたので、それには本当に驚きました」