変化を恐れず、逆境を楽しむ オリックス球団社長・湊通夫さん
楽しさを提供しつづけるという使命
野球を観に球場に来てくれるお客様が、いかに楽しんでくださるか。日々それを考える中で、「スポーツ」という言葉の語源を改めて振り返ることがあるそうだ。
「私自身もスポーツは体を動かすことだと勘違いしていたのですが、もともとは『娯楽』という意味。“余暇を楽しむリクリエーション”というのが、スポーツが本来持つ意味なんです。それを知って、自分の中で腑に落ちた部分がありました。だったら、『こうあるべき』という固定観念は捨てて、まずは自分が楽しんでしまえばいい。ただ、それが自己満足になってはダメ。みんなが楽しめるアイデアを、自ら楽しんで出せるかどうかですね」
アマチュアも含めて野球が盛んな土地である大阪に本拠地を構えていることは、非常にプラスにとらえている。野球協定で定められる保護地域は兵庫県だが実質的には大阪の球団として認知されている阪神タイガースの存在も、決して悲観的には見ていない。
「野球ファンが多いわけですから、それだけマーケットも大きいということ。とても有り難い環境です。実際、CRMでは80~85パーセントのお客さんが80キロ圏内のエリアから球場に来てくださっているというデータも出ています。我々も2008年にフランチャイズを大阪に移してから観客動員の伸びはいいですし、まだまだポテンシャルがあると感じています」
球団社長という立場で野球に関わっていると、球団の未来だけではなく、プロ野球の未来について考えることもある。野球ファンや野球の競技人口が減少していると言われる今、その未来をどう描くのか。
「少子化が進んでいる以上、競技人口の減少はもはや野球だけの問題ではありません。ただ、競技人口が減ったとしても、観戦人口を増やすことはできる。どうすれば楽しんでいただけるかという視点は、これからさらに大事になるでしょう。最近では女性ファンがインスタ映えを狙って来場してくれるなど、新しいタイプのファンも増えています。野球という域を超えていかに娯楽として楽しさを提供できるか、それはこれからも続く我々のミッションです」
(「パ・リーグ インサイト」岡田真理)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)