愛知ディオーネが“下剋上”達成、2連勝で女王決定戦を制し「年間女王」に輝く

お互いの健闘を称え合う愛知ディオーネと京都フローラの選手たち【写真提供:日本女子プロ野球リーグ】
お互いの健闘を称え合う愛知ディオーネと京都フローラの選手たち【写真提供:日本女子プロ野球リーグ】

指揮官が明かした苦悩「みんなの前で話すのもしんどい時期があった」

 しかし、挑戦者は歩みを止めない。ディオーネの1点リードで迎えた最終回、2本のヒットで2死一、二塁とし、打席には6番・寺部歩美。1ボールから小西が投じた2球目、変化球が甘く入った。打球はセンターへの浅いフライとなり、ボールは前進する三浦伊織のグラブにワンバウンドで収まった。二塁ランナーの厚ヶ瀬美姫が懸命に走り、仲間の待つホームベースへ滑り込み生還。ダメ押しとなるタイムリーヒットとなった。

 そして最終回、ディオーネは好投の小原から森若菜へスイッチ。打者2人でツーアウトとし、ここでマウンドには1戦目で好投した堀田ありさが上がると、最後はフローラのみなみをレフトフライに打ち取った。

 年間女王に輝き、球場に駆けつけたファンと共に喜び合うディオーネナイン。強かった。特に後半戦に入ってからの勢いは他2チーム全く寄せ付けなかった。そんな強いチームを指揮してきた、碇美穂子監督の目には涙が浮かんでいた。

 観客が球場から去り、静まり返ったグランドでは、ディオーネの最後のミーティングが行われていた。

「みんなの前で話すのもしんどい時期があった」

 開口一番、監督碇の口から思いもしないコメントがあった。順風満帆なシーズンではなかった。シーズン終盤には最下位に転落したこともあった。故障者も続出し、ギリギリの中で戦ってきた。投げ出したくなった時もあったが、それでもここまで進み続けたのは、選手が野球に取り組む姿勢に心を打たれたからだ。問題があれば遠慮なくぶつかり合い、全員で考え、取り組んだ。壁があっても、自分たちで乗り越えられるほど強くなった。こうして積み上げてきた経験値は、大一番で存分に発揮された。

 女子プロ野球リーグ2018シーズンは、この試合を持って閉幕。次は10月26日から開幕する「第8回女子野球ジャパンカップ」で、各カテゴリーのアマチュアチームと戦い、女子硬式野球の頂点を競い合う。日本中の女子野球選手たちが集まる年に一度の祭典からも、目が離せない。

(Full-Count編集部)

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