正面で捕らなくていい―広島菊池が語る守備の“流儀”「試合ではアウトならOK」
「基本的に試合になれば、打てばOK、アウトになればOK、セーフになればOK」
――ノックの数をこなすこと、ですね。武蔵工業大学第二高校時代までみっちりと基礎を練習してきた。菊池選手は昨季まで5年連続でゴールデングラブ賞受賞です。そして、侍ジャパンのプレーが認められて、海外メディアでも「忍者守備」「神の手」と絶賛されています。メジャーの選手やメディアに評価されるという部分は刺激になるのでしょうか?
「これまでのことを考えると、マジかっていう感じでもします。 WBCであったり国際大会に出させてもらってますけど、でもやっぱり向こうの選手と比べたら僕なんてまだまだなので、そう思います。常に向上心というのはあるので、僕も向こうの選手みたいになりたいと思っているので。日本の野球にとらわれないと言うか……。もしも、僕が野球教室をやったら、“打球を正面で捕りなさい”とは子供たちに言わないんだろうなって思います」
――打球を真正面で捕らなくてもいい、ですか。高校時代にたくさんノックを受けて、基礎を固め、大学時代の4年間で応用編のフリースタイルに磨きをかけた菊池選手だからこそ響く言葉です。
「基本は大事です。打球に対して真正面の体勢で入ることも重要です。けれども、やっぱり基本的に試合になれば、打てばOK、アウトになればOK、セーフになればOK。つまり、結果の世界なんです。ただそれを小学生とかに言えないんですけども、結果的にアウトにできるなら、効率性が高ければ、どんな形でもいいんじゃないかと僕は思います。自分のやりやすいやり方でいいんじゃないかなって最近は感じていますね」
――アウトにするための効率性こそが大事だということですね。例えば、メジャーの一流の内野手はアウトを取るために、セオリーから考えられないようなプレーを出してきます。シアトル・マリナーズのロビンソン・カノ二塁手のトリッキーなグラブトスは菊池選手に共通する部分を感じますが。
「カノと僕のグラブトスもまた違うんですよね。彼はオシャレというか、また華麗ですからね。僕の場合、ココイチでしか、グラブトスしない。そういう部分が、日本と向こうの違いだと思うんですけども。彼らはいかに効率性を高めるか。無駄と消耗を避けて、エレガントに魅せるか、という部分も追求していますよね。僕も最近キャンプでは、監督・コーチ陣の目を盗みながら、色々できないかと。そういう部分にもチャレンジしています(笑)。感覚やセンスの部分もある。できる人とできない人がいると思います。ちょっと恵まれた感覚の持ち主と言うか。親からもらった天性の部分だと思うんですけど。親にありがたいと言いたいです。そういう感覚とかは、親から授けられたものなんじゃないか、と。僕だけじゃなくて遺伝子なんだろうなって思う時はあります」
(Full-Count編集部)