引退の西武・松井稼頭央、最後に遊撃に手を当てて別れ「育ててもらった場所」
後輩たちに託した日本一、今季の優勝は「胸を張っていいと思うし、自信にもなっていると思う」
そして、レフトスタンドから引き上げる際、ショートの位置でグラウンドに手を当て、しばらく目を閉じる。「辞めるときに、やりたいな」という思いが以前は頭にはあったという松井。「挨拶に行って引き上げるときに、あの場所を通ったので自然とやってしまった。あのタイミングしか(ショートに)行けなかったので。ライオンズに入団し、ショートとして育ててもらった場所ですし、今日、最後の現役選手として『ありがとうございました』という気持ちで」と、思い出の場所への感謝の思いが、あの行動になった。
今後、どのような形でチームを支えていくかは、これから球団との話していくことになるが「当然、練習に来て」と、何らかの形で秋季練習に参加するという。しかし、その前に「まず休みます」。しばらくは疲れた心身を癒す時間をとるとのこと。
「日本一になって嬉し涙を――」
引退会見で語ったその夢は、果たされることなく終わりを告げた。
「チーム全員でそこを目指したわけですからね。でも勝負の世界、当然勝敗はある」と、悔しさをかみしめながら「本当に頼もしかった。若い選手もいる中、その若い選手が力をつけ、レギュラーシーズンを勝ち抜いて優勝した。当然、胸を張っていいと思うし、自信にもなっていると思う」と、共に戦ってきたチームメートたちを称えた背番号7。「CS敗退の悔しさを来年、選手のみんなが雪辱に向けて、日本一を目標に頑張ってくれると思います」。今季果たせなかった夢を後輩たちに託し、現役選手として最後となるこの日、球場を後にした。