2018年ドラフト指名選手に見る各球団の補強方針 変えた球団、変わらぬ球団

高校生の人気選手に迷わず入札した日本ハム、話題性ある選手を好んだ楽天

◯日本ハム 高校生5人、大学生1人、社会人1人、その他0人(育成1人)

 高校生の1番人気・根尾に入札し外したが、1位の吉田輝星投手以下、2位野村佑希内野手、4位万波中正外野手、5位柿木蓮投手と甲子園で名を馳せた選手を次々に指名して話題を呼んだ。育成で選手流出を補う日本ハムの戦略からすれば、ブレないドラフト戦略だ。たまたま、スカウティングによる素材の評価が甲子園のスター選手に集中したというところだろう。捕手の田宮も、正捕手が37歳の鶴岡慎也ということを考えると、今のうちにとっておくのはうなずけるところ。球団初の育成選手、海老原一佳外野手にも注目だ。

◯オリックス 高校生2人、大学生2人(育成1人)、社会人3人

 小園を外して同じ高校生の大型遊撃手・太田椋内野手を指名。高校生野手の1位指名は2010年以来8年ぶりだが、内野手が欲しかったチーム事情をうかがわせる。小園を敢然と指名し、くじ引きに臨んだところは、単独指名志向だった最近の傾向とは異なるが、2位で大学生の頓宮裕真捕手、3位の荒西祐大投手、4位の富山凌雅投手は社会人と、即戦力重視の指名傾向は変わっていない。

◯ロッテ 高校生4人、大学生3人、社会人1人、その他0人(育成1人)

 1位で藤原を引き当て、4位山口航輝外野手、8位土居豪人投手と素材型を指名。6位の古谷拓郎投手は、打者転向し2000本安打の福浦和也の後輩でもあり、地域性もしっかり考えている。2位東妻勇輔、高校時代選抜大会優勝の小島和哉の大学生2投手を補強し、バランスをとった。即戦力も素材の補強も両立させた、いいドラフト戦略だったと言えそうだ。

◯楽天 大学生5人、高校生2人(育成1人)、社会人1人(育成1人)

 藤原への1位入札は、高校生のスター選手を好む傾向通りだが、外した後も外野手にこだわり、辰己に入札して見事に引き当てた。今年は圧倒的に大学生が多かったが、過去5年も人数的には大学生が一番多く、ドラフト戦略自体はそれほど変わっていない。高校生のスター選手こそ逃したものの、6位の横浜高元監督・渡辺元智氏の孫・佳明内野手や育成2位の則本昂大投手の弟・佳樹投手なども指名され、話題性のある選手を好む傾向も例年通りだった。

 こうしてみると、今年に限って見れば巨人、ソフトバンクなどは補強方針を転換し、西武、日本ハムなどはブレない補強方針を貫いた印象のあるドラフトだ。バランスのいい補強、スムーズな世代交代はチームを強化するために必要だけに、このような方向性の違いが5年後、10年後にどういう結果をもたらすか、興味深い。

(Full-Count編集部)

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