引き分け→広島勝ちは32年前と同じ 1986年は工藤公康のサヨナラ打から西武日本一

史上1度しかない第8戦に突入した1986年の日本シリーズ

 短期決戦は少しのことで、流れが激変する。1986年の日本シリーズも、まさにそうだった。第5戦に工藤のサヨナラ適時打で劇的勝利を収めた西武は、広島に戻った第6戦、第7戦にも勝利して3連勝。第7戦を終えて3勝3敗1分。日本シリーズで、後にも先にも、この1回だけしかない、第8戦へともつれ込んだ。

 史上1度しかない第8戦。ホームの広島は3回、先発の金石昭人が、西武先発の東尾から2ランを放って先制。西武は6回に秋山が金石から2ランを放って同点に追いつくと、8回にブコビッチが勝ち越しの適時二塁打を放ち、ついに逆転に成功。東尾が3回、永射保が1回、そして渡辺久信が3回を投げると、最後にマウンドに上がったのは工藤だった。左腕は2つの四球を与えながらも、2イニングを無安打無失点に封じて、見事に胴上げ投手となった。

 この1986年の日本シリーズで、工藤公康はMVPに輝いた。第5戦のサヨナラ安打だけでなく、8試合で4試合に登板(先発1試合、リリーフで3試合)し、1勝1敗2セーブをマークした。工藤が流れを変え、工藤が最後を締めくくった日本シリーズだった。ちなみに、この年、広島でマスクを被っていたのは、現在、工藤監督のもとでヘッドコーチを務める達川光男だった。

 史上3度しかない第1戦の引き分け。そして、仕切り直しとなった第2戦で広島が勝利したところまで、1986年と重なる。工藤公康が“主役”になった。27日の第1戦に引き分け、28日の第2戦の前に工藤監督は「僕の時とは関係ないと思うよ」と語っていたが、果たして……。2018年の日本シリーズには、どんなドラマが待っているのだろうか。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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