オリックスの剛腕がプロ7年間で見せた功績 輝きは一瞬も、記憶に残るマウンド

2年連続タイトルの代償は大きく、その後は故障続きに

 その年リーグ優勝を飾ったソフトバンクとのゲーム差は0、勝率わずか2厘差の2位と、あと一歩で頂点を逸したオリックス。そして佐藤達にとって、チームの悲願達成のために投げ続けた代償は、非常に大きなものとなった。

 2年間にわたって登板を重ねた影響か、翌2015年は成績を落とした上に、腰痛によって2度登録を抹消される。それでも、59試合に登板して2勝7敗13ホールド13セーブ、防御率3.22という数字を残した。

 しかし2016年は43試合で1勝4敗12ホールド、防御率5.01と不振にあえぐと、続く17年は12試合で0勝1敗2ホールド、防御率7.30とさらに成績が悪化。かつての圧倒的な姿を知る者にとっては、あまりに寂しい状況が続いていた。

 そんな状況で迎えた今季は2軍で33試合に登板して1勝1敗6セーブ、防御率2.64と一定の数字を残していたが、1軍での登板機会が訪れることはなかった。そして、シーズン終了後の10月29日に、球団から来季の契約を更新しない発表がなされたことを機に、32歳で現役を退いて球団フロントへと転身することを決意している。

 身長は178センチとプロ野球の投手としては決して体格に恵まれているとはいえない。速球を軸とした力投型のスタイルだっただけに、連投を続けた2年間の負担が、その身体に重くのしかかったのかもしれない。太く短い野球人生を終えたその姿は、大先輩でもある伝説の豪速球投手・山口高志氏(元阪急)を想起させるものだった。

 輝きを放った期間は、決して長くはなかった。しかし、剛腕から放たれる力強いボールが残したインパクトは、多くの人々の記憶に刻まれた。2年連続最優秀中継ぎというタイトルのみならず、7年間のプロ生活で通算262試合に登板して109ホールドを記録し、防御率も2.71。全てが終わった秋の暮れに、記録にも記憶にも残る存在だった右腕は、静かにその現役生活に幕を下ろした。

(「パ・リーグ インサイト」望月遼太)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

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