「勝てるピッチャーに」―“エース道”歩む西武2年目右腕・今井が描く成長曲線

「どっちかというと、球の質にこだわりを持っています」

 プロ初登板となった6月13日の対ヤクルト戦では6回1失点と好投し、初勝利を飾った。交流戦で好調を維持していたヤクルト打線を相手にしても、緊張することはなかったが、1軍の打者の力を実感したという。

「勝っても負けても、いい経験になることばかりですから緊張はしませんでした。打たれたら次は同じ間違いをしないようにすればいい。1軍のバッターは、甘いボールを1球で仕留めるか、打ち損じてファールにする。そこは、高校や2軍で投げていた時と大きな差を感じました。ボール1個分甘いとヒットにされたり、ちょっと高いとホームランにされる。本当にボール1個分の差です」

 そんな力のある打者を打ち取るために、同じ投球フォームで投げることを心がけ、フォームの再現性を高めたいと話す。また、球速よりも球の質を意識しているという。

「いいフォームで投げられていても、まだ体で覚えきれていないので、何日か経つと忘れてしまいます。なるべくフォームを崩さないように、反復練習をしています。球速にはあまりこだわっていないですね。どっちかというと、球の質にこだわりを持っています。真っ直ぐを待っていても、真っ直ぐに手が出ない。そんな球を投げたいと思います。球速の表示よりも、『速いな』と感じるボールを投げられるようにトレーニングしていきたいと思っています」

 チームは10年ぶりの優勝に輝いたが「2年目からとても貴重な経験をさせていただいています」と、感謝の言葉を口にした。

「5点取られても打線が6点取ってくれるチームなので、毎試合野手の方に助けていただいてばかりです。これからクライマックスシリーズもありますが、短期決戦になったときにピッチャーが踏ん張っていかないといけない時がくると思います。2年目からこういう経験をできることはめったにないことですし、負けられない。『気持ちを入れていかないと』と思っています」

 自分が投げる試合以外はあまり見ることがないという今井は、多くのファンが詰めかけた試合開始前のスタンドを見て「すごいですよね。平日ですよね。本当にありがたいですね」と笑顔を見せた。チームメート、そしてファンへの感謝の気持ちを忘れない20歳の右腕は「勝てるピッチャーになりたい。来年は自分の背番号くらい勝ちたいです」と意気込む。エースへの期待が込められた背番号「11」は、チームの勝利のために、さらなる成長を誓った。

(篠崎有理枝 / Yurie Shinozaki)

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY