ドジャース躍進の“舞台裏” 名門のブランドを高め続ける取り組みとは?

残された命題は1988年以来の世界一

 ドジャースは新たな試みを続ける。今年9月、元女子テニス世界王者のビリージーン・キング氏がオーナーグループに加わったと発表した。

「ロサンゼルスに根差したスポーツ界の著名人の影響力はもとより、リーグ全体としてダイバーシティを推進している背景から、球団PRとしては効果的だったと思います。現オーナーの1人であるマジック・ジョンソン氏もそうですし、ダイバーシティを体現している球団として、社会的な評価や印象も良くなるでしょう」(シーゲル氏)

 実際、ドジャースのフロントでも様々な人種を雇用し、女性の管理職を増やす流れにあるようだ。愛知県出身で、日本の大学を卒業してからロサンゼルスへ渡った佐藤氏は「特に『人種のるつぼ』であるロサンゼルスが本拠地の球団ですので、他のチームに比べてもいち早く実践、推進していける環境にありますし、また伝統的に先駆者としての役割を担ってきた責任もあるように思います」と言う。

 ドジャースのチケット価格は年々上昇を続けているものの、今季の本拠地平均観客動員数は4万7042人で、2013年から6年連続30球団トップが続く(ESPN参照)。チームが勝てばファンの足は球場へ向き、ポストシーズンに進出すればチケットやグッズ収入だけでなく、スポンサーからの投資も増える。

「資本力」「チームの戦力」「ブランド力」が相互に噛み合い機能している現在のドジャースは、プロスポーツチームの理想像と言えるだろう。それぞれの幸福な関係はしばらく続きそうだ。6年連続ナ・リーグ西地区優勝、3年連続リーグ優勝決定シリーズ出場、2年連続ワールドシリーズ出場を達成し、あとは1988年を最後に遠ざかるワールドシリーズ制覇を果たすのみ。2019年シーズン、3度目の正直となるか大いに注目したい。

(「パ・リーグ インサイト」藤原彬)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

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