秀岳館で4季連続甲子園 立教大・川端健斗の現在地「自分の力出し切れなかった」

刺激を受ける法大・三浦、明大・武田ら同級生の存在

 春のリーグ戦前に2年上でエースの田中誠也(大阪桐蔭)との会話を思い出した。

「実は入学前から一番気になっていたのが誠也さんの存在でした。同じ左だし、甲子園で実績もある。実際、練習からの姿勢や、試合の作り方……誠也さんはすべて見習うところばかりです。誠也さんのストレートはスピードがなくても、キレが良くて空振りが取れる。どうやってそんなストレートを投げているのかな…とずっと思っていて、ブルペンが隣だった時にたまたま誠也さんとその話になったんです。そうしたら、リリースの感触を見ながら投げているって聞いて。単に腕を振るだけではなくて、リリースから見直していかに厳しいコースに投げられるかを考えるようになりました」。

 ブルペンではリリースの位置を意識しながら、ストレートで何割ストライクを取れるか、カウントを取れる変化球を磨くことに努めた。秋のリーグ戦では力の入れ具合を見ながらストレートを投げていくと、リーグ戦序盤で一時的に四死球が減った。もともと制球にばらつきがある方だったため、何かを掴んだ気がした。

「四球を出すピッチャーは、周りから見ても守りづらいし(指導者からも)使われにくい。ただ、四球が減ったのは一時的なので続けられないところが今の自分の課題です。スピードにとらわれるのではなくて、いかにキレのあるボールをコントロール良く投げられるか。それができるようになれば自然と腕が振れてスピードもついてくるはずなので、まずは球質を上げていきたいです」

 何より同じ1年生で活躍した法政大の三浦銀二(福岡大大濠高)、明大の竹田祐(履正社)らの活躍が大きな刺激になっている。特に三浦とは昨秋の侍ジャパンU-18として、共に世界の舞台で戦った間柄だ。「銀次とは九州大会でも投げ合ったことがあったんですけれど(高校2年秋に九州大会準決勝で対戦)、ストレートはキレがあるしコントロールはいいし、完全に抑えられました(0-5で敗戦)。銀次は普段はすごく優しいし穏やかなんですけれど、マウンドに立つと人一倍負けん気が出ます。この秋のリーグ戦でも投げ合ったんですけれど、やっぱりあのストレートは違いました。ただこの秋、打席に立った時、自分は意地でヒットを打ちましたけれどね」と笑った。

 一足先に全国の舞台に立ったライバルの背は先にあるが、決してネガティブにはなっていない。むしろ、自身の活路を見いだせたことでモチベーションは一層上がっている。「この冬の時期は課題を潰すことだけです。来年は誠也さんが1戦目に投げて、自分が2戦目を任せてもらえるようになりたいです。同級生にもこれだけ切磋琢磨できるライバルがいるし、レベルの高い打者の多いリーグなので、良い環境で野球をやらせてもらっています。今年はこれだけ経験をさせてもらったので、さらに期待はされると思いますが、来年こそは自分の納得のいくシーズンにしたいです」。今季を布石にし、期待を超える躍動を―。真価が問われる2年目のシーズンに向け、川端の“長く濃い冬”が幕を開けようとしている。

(沢井史 / Fumi Sawai)

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