「2000本安打は辞めてから振り返ればいい」 ホークス内川が求める理想の打撃とは

ベテランになるほど新しいものに挑戦「いや、まだまだやるぞ」

 だからといって、2000本安打を「単なる通過点」とは表現しない。

「周りの方はよく通過点だって言ってくれますけど、僕の正直な気持ちは、『通過点って思うんだったら、そっとしといてくれよ』っていうことですね。でも、それは通過点であると周りが評価してくれることがその選手の凄さだと思います。2000本打ったからこそ、さらにそれに恥ずかしくないような成績を残し続けたいなと改めて思いました。終わってみた時に『2000本は通過点だったね』って周りが認めてくれるような数字を残すことが大事かなと思っています」

 内川にとって、2000本安打の評価は周囲がするものであり、自身としては、2000本安打を達成したことで、もっともっと理想の打撃を極め、結果を残したいと思わせてくれることによって、初めて意味を持ってくるのだ。

 理想の打撃とは何か。内川は明快に答えた。「10割打ちたいです」内川と同じく今年2000本安打を達成したロッテ・福浦和也も、同じことを話していた。完璧を求めていくと、答えは「10割打者」しかないということだろうか。

「『ミスった』っていう打球がヒットになるのも野球ですけれど、自分が意図したままにバットを操って、ボールの行き先さえも操れるぐらいの感覚っていうものを持てると楽しいだろうなと思います」

 目指す境地は“完璧な世界”だ。「それを達成するためには、いろいろな要素がすべて噛み合わないとできることじゃないと思う。だから野球だけやっててもダメだし、精神的なとこだけ学んでもダメだし、やることがいっぱいある」。心技体が極限まで充実し、自分の肉体とバットとボールが完全にシンクロした状態。決して現実に妥協せず、高い理想を求めてやってきたからこそ、それが2000本安打という記録になって結実した。

 36歳。まだまだ老け込む年齢ではない。「ベテランになると、いろいろ今までやらなかったことをやってみたくなったり、新しいものにどんどんどんどん挑戦するっていう姿勢が出てくる気がします。今年の成績を見ると、ああ、そろそろかな……とか、成績も落ちてきたなあ……みたいなことを感じた時期もありましたが、そういうのを感じてしまった自分に対して今はちょっと違ったなと思いますし、『いや、まだまだやるぞ』って正直自分の中でも思ってます」。年齢を重ね、円熟味が増したバットマンの風格が感じられる、力強い言葉だった。

(Full-Count編集部)

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