発揮した「底力」と終盤の失速… 希望と課題が見えた2018年日本ハムの戦い
新陳代謝の良さと試合運びの巧さに定評
シーズン開幕前の評価を考えれば、Aクラス入りは大健闘だろう。しかし、優勝争いを繰り広げた序盤戦の戦いぶりを思えば、終盤の失速は惜しまれるところだ。
チーム全体にブレーキがかかってしまった要因はいくつも考えられる。まずは、主力選手たちのシーズン終盤の不調だ。上沢は8月に入ってから勝ち星に見放されて、最後の9先発でわずか1勝止まり。10勝目を挙げた時点で2.43だった防御率は、8月に4.50、9月に5.40と打ち込まれた。同じくマルティネスも後半戦は援護に恵まれず、7月以降は12先発で3勝6敗。それでも来日1年目から10勝11敗、防御率3.51と好成績を残した。
また、有原航平、高梨裕稔、加藤貴之ら、主力の3投手が揃って防御率4.50台に終わり、トンキンが終盤戦に深刻な不調に陥ったことも痛手だった。トンキンは8月中旬まで安定していたが、18日の西武との首位攻防戦で8回に3失点を喫して負け投手になるなど、月間防御率7.71と背信の投球が続いた。CSファーストステージ第3戦でも、1点を追う6回に登板すると、2者連続本塁打を被弾。1死も取れずにノックアウトされ、後味の悪い形で来日1年目を終えた。
ただ、育成には定評があり、新陳代謝が活発なチームだ。いずれはチームを背負うであろう若手の出現が期待され、また、現時点でも将来有望な選手は少なくない。二塁のレギュラー獲得が見込まれる渡辺諒や、正捕手候補として86試合で7本塁打とパンチ力を披露した清水優心、シーズン中は低打率にあえいだもののポストシーズン2本塁打を放った横尾俊建といった面々は、近い将来の主力として大きな期待がかけられている。また、ゴールデンルーキーの清宮幸太郎、堀瑞輝などポテンシャルを評価される選手たちが1軍で経験を積んだ。まだ22歳ながら抑えに抜擢された石川直也も、過酷な実戦の中で飛躍的な成長を遂げており、来季はそれに続く存在が出てくる可能性も高いだろう。
多くの主力を失いながらAクラスに食らい付き、単純な選手層では測れない強豪チームとしての「底力」を感じさせた日本ハム。来季も「らしい」戦い方でシーズンを戦い抜き、北の大地に3年ぶりの歓喜をもたらすことができるだろうか。
(「パ・リーグ インサイト」望月遼太)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)