“球爺”たちの青春はいつまでも続く 「おじいちゃん甲子園」が誕生した訳

増加する競技人口、実現した甲子園球場での開催

 寺岡氏は還暦野球を始めようと、全国各地の還暦野球を巡る中、日本人高齢者の元球児にとって1番の憧れは甲子園であると現場の声を汲み、おじいちゃん甲子園大会設立に踏み切った。今では、400近いチームが参加し、全日本還暦軟式野球連盟(別組織)と合わせると競技人口は約25万人と近年上昇傾向である。

 今後については「人口としても今後20年は増え続け、各連盟と手を取り合い全国に展開できればと願っている」と、全国規模の大会として認知されることを目標に掲げている。一般社団法人日本生涯還暦野球協会のFacebookも寺岡氏自身が動かす。更新も高く、事細かに情報を提供してくれる。

 ルールに関しても、おじいちゃん選手が全力でプレーできるよう設定されている。使用するボールは軟式野球ボール、バットは金属、塁間や投球距離など少年野球と同じルールを採用している。寺岡氏は「打つことはできても走れない人だっている。それでも誰もが楽しめるのが野球のあるべき姿ではないか」と力を込める。

 グラウンド整備など大会スタッフには、関西学生軟式野球連盟の“若者スタッフ”が縁の下で支える仕組みになっている。宇陀市の協力もあり、試合後に移動するバスも準備されるなど、目一杯野球を楽しむ環境を整える。日本で、幼い頃から野球をしていれば、“甲子園”は憧れでもあり、特別な存在であろう。あの頃の青春が還暦を超えて帰ってくる。還暦野球最高峰の大会を目指し、おじいちゃんたちはまだまだ走り続けている。

(大森雄貴 / Yuki Omori)

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