世界の福本も認めた“甲斐キャノン” 名球会の俊足選手たちが語る盗塁成功のカギ

秋山幸二氏が考えるカギは「そこを思い切ってスタートできるか」

 名球会の中でも比較的引退してから時間の経っていない秋山幸二氏。西武、ソフトバンクで大活躍し、当時「メジャーに最も近い男」と呼ばれるほどだった。また、ソフトバンクで監督だった時に、育成選手だった甲斐は支配下登録、そして1軍デビューを果たした。

「育成だったけど、肩というか守備は良かった。また打撃も意外とパンチ力があったからね。でも、当時は捕手としてここまで注目されるようになるとは、正直、思っていなかった。1軍帯同も主力捕手の故障などがあったりしたからだったからね」

 現役通算303盗塁(盗塁王1回)を誇る秋山氏は、甲斐と勝負するとしたら、どうするのだろうか。

「まあ、あれだけの阻止率だから。それを見せられると、やはり走りにくくはなりますね。でも、そこを思い切ってスタートできるかだと思う。そういう意味では、もちろん投手の傾向、クセなども頭には入れます。だけど、スタートはある意味思いきりですから。それができれば、あとは普段通りの自分の走塁をするだけしかない。スタート次第、まぁ、そうとしか言えないくらい高いレベルですね」

 監督、そして解説者として甲斐のプレーを数多く見てきた秋山氏だけに、100%セーフになるとは言えない、ということであった。

 そして、現役を退いたばかり通算378盗塁、盗塁王1回の元中日・荒木雅博。攻撃面のみでなく、守備の要であるショート、セカンドのセンターラインを守り抜き、強豪中日に欠かせない選手だった。

「やはり僕の持ち味はスピード。そのためにも攻守で常に細かいところまで気を配っていた。中でも、走塁に対する意識、次の塁を狙うという気持ちは、常に強く持っていた気がする。甲斐君が試合に出始めたのは、僕もベテランになってから。だから、全盛期、最もスピードがあった頃に勝負してみたかったと本気で思います」

 そう語った荒木は、投手ではなく捕手の甲斐と勝負したいという。

「盗塁を試みるとしたら投手ではなく、純粋に捕手と勝負したい。アウトコース真っ直ぐで、捕手が二塁へ送球しやすい投球で勝負したい。まぁ引退したし、野球人としての気持ちですが。自分の足、盗塁技術がどこまで通用するか見てみたかった……」

 現役時代にはチームプレーに徹し、勝利のために献身を重ねた荒木。やはり野球人としては自らの能力を知ってみたいということだった。

名球会に「盗塁枠」があってもいいのでは…

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