広島の強打者・新井貴浩を作ったもの―「練習は嘘つかない。やったもん勝ち」
「広島に戻ってよかった」「感謝の気持ちしかない」
広島だけでなく、フリーエージェント(FA)で阪神に移籍し、伝統球団で中軸を担う重圧も経験してきた。そして、戻ることはないと思っていた広島に戻り、球団史上初のセ・リーグ3連覇という結果を残して選手生活を終えた。
「僕は1回違うチームに出ていますし、それでも帰って来いって球団に言っていただいて、また帰ったら帰ったであんなすごい大歓声で迎え入れてくれたので、本当に『ありがとうございます』という感謝の気持ちしかないですよね。『帰って来い』って言っていただいた時は嬉しかったですし、びっくりしましたし、帰りたいって気持ちはあったんですけれども、実際すごく悩んでたんですよね。今さらのこのこ帰れないっていう気持ちがあって、出る時はもう二度と戻れないと思って覚悟決めて出て行きましたし、そういった中で迎え入れてくれて、本当に戻ってよかったなという気持ちですね」
だから、日本シリーズでソフトバンクに敗れた後も、悔しさよりすがすがしい気持ちの方が強かったという。
「悔しさがないといったら嘘になるんですけれども、それ以上にありがとうございましたという気持ちの方が大きいですね。最後の年にまた優勝させてもらって、また引退発表した後でも、後輩たちがちょっとでも長く新井さんとやりたいとたくさん言ってくれたので、本当に嬉しかったですね」
背負ったものをおろした今は、まず家族と濃密な時間を過ごしたいという。
「(先のことは)僕も分からないですよね。どういう風になるのかは、まだ終わったばかりですしね……。僕、あまり趣味がある方じゃないので、とにかくもうのんびりしたいですよね。あとは家族ですよね。4年間単身でしたので、家族との時間を大切にしたいと思っています」
今は20年間走り続けた疲れをとり、その後は外から野球を見つめた上で、いずれはカープを率いる将に……。一度は他球団に出た新井氏を温かく受け入れてくれたファンは、いつかグラウンドに戻ってくることを待ち望んでいる。
(Full-Count編集部)