規定投球回到達、完投数は最少、増える救援登板 データで見る投手戦略の変化

ここ3年間で200イニングに到達したのは2018年の巨人・菅野智之のみ【写真:Getty Images】
ここ3年間で200イニングに到達したのは2018年の巨人・菅野智之のみ【写真:Getty Images】

先発完投から、リリーフをつぎ込む戦略へ変化

 プロ野球の1シーズン当たりの完投数記録を見てみると、1位は別所昭投手(南海、1947年)で47完投と分業化が進んだ現代ではおおよそ考えられないような数字が残っている。トップの10人の中で1番最近の記録が1947年(別所、東急・白木義一郎=44完投、太陽・真田重蔵=42完投)にマークされたものであり、この記録を破るのはほぼ不可能だろう。

 投球回でも、1位の林安夫投手(朝日、1942年)は1シーズンで541回1/3を記録している。こちらのトップ20で1番最近にできた記録は1961年(中日・権藤博=429回1/3、西鉄・稲尾和久=404回)。前述の完投数を聞くとだいぶ時間がたったように感じるが、それでも約半世紀前の出来事だ。

 投手の起用事情は変化を続けている。半世紀前とは言わずとも、1989年に斎藤雅樹投手(巨人)が11試合連続完投を記録したような時代の先発完投主義の風潮はすっかりすたれてしまった。6人程度の先発投手が90~120球前後を目安に投げ、あとをリリーフ投手が引き継ぐ形が基本形になっている。

 この変化はもっと短いスパンでも見ることができる。規定投球回到達人数、完投数、そして中継ぎ登板数という3点から、最近のNPBの投手起用の変化を見ていきたい。

 まず、規定投球回到達人数。最近10年間の規定到達人数は平均27.9人。2018年で規定投球回を投げたピッチャーはセパ合わせて17人。2012年の33人から、年々減少が続いていて、2018年は過去10年間で最少となっている。

 最多だったのは2009年で34人。セパそれぞれ17人の規定到達投手がいた。先発投手にとって規定を投げることの難易度が年々高くなっている。2015年までは、2014年を除き1人は200イニングを投げる投手がいたが、ここ3年間では2018年の菅野智之(巨人)のみとなっている。2010年には6人、2011年には7人の投手が200イニングを投げた。

中継ぎの登板数は増加傾向、メジャーでは「オープナー」という戦術も

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