NPO法人「女子硬式野球サムライ」が目指す競技の普及 女性向け野球教室を開催

女子だけでプレーするのは初めてという参加者も多数

 開会式を終えると、早速ウォーミングアップ。普段「侍」で行うウォーミングアップに加え、初対面の参加メンバーたちにとって交流の糸口になるように鬼ごっこを取り入れると、参加者から笑顔が溢れた。キャッチボールも守備練習も、侍の選手がほぼマンツーマンで指導しながら、基礎から応用まで多くの技術を丁寧に伝えていった。

 観覧に訪れていた保護者や指導者向けには、「侍」のトレーナーであり、女子野球医科学研究会代表の理学療法士、梅林遼太氏による実演講座を開催。指導者のレベルアップにも貢献した。

 打撃練習後の午後の部では、「侍」メンバーお手製の得点ボードが出現し、本物さながらの「リアル野球盤」が行われた。全日本女子硬式野球選手権3位、全日本女子硬式クラブ野球選手権3位、と全国でも名を轟かせる「侍」投手と直接対決に、会場は大いに盛り上がった。

 イベントを通じて、参加者同士の会話は弾み、笑顔が絶えることはなかった。普段は、男子ばかりで女子のいない環境で野球をしているため、女子だけプレーするのは初めてという参加者も多い。使用する道具や今後に進路についてなど、普段はなかなか他人と共有できない話に花が咲いたようだ。

 サムフェスの閉会式では、日本代表チームでキャプテン経験もある六角彩子選手が挨拶。寒さの中でも全国から集まった女子野球選手に対して「女子クラブチーム侍は、女性なら誰でも、何歳からでも参加できます。一緒に野球をしましょう!」と元気いっぱいに呼びかけた。

 男子若年層における野球競技人口減少は顕著だが、女子に関しては、近年は着々と競技者が増えている。しかし、スポーツ用品店に行けば9割以上が男性用で、女子野球ワールドカップ6連覇の報道も決して大々的だったとは言えず。「女子にとって野球を始める入り口はまだまだ狭い」と「侍」の選手は語る。

「まだまだ女子野球はマイナーと言われる競技。同じような境遇の人が集まって、野球を楽しんでもらいたい。そして、今後も野球を続けてほしいです」

 野球が大好きな女子による、野球が大好きな女子のための野球教室は、今年も盛況で幕を閉じた。

(大森雄貴 / Yuki Omori)

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY