「夏は西だけでは勝てない」―創志学園の“2番手”、146キロ右腕の決意と可能性

「夏は西だけでは勝てないので、西を支える存在になれたらいい」

 夏の甲子園で快投を見せた西の存在はさらに大きくなった。

「夏の甲子園の西はただすごいなって。西は負けず嫌いな性格だから、どうしてもストレートで押そうとしたり、自分が何とかしないと気が済まないとムキになっていた場面もあったけれど、責任感が強いから。自分は西に比べると経験不足。まだまだやることが多いです」

 西が主戦となり、位置づけは“2番手扱い”。でも、下は向くことはない。

「自分は体がまだできていないです。自分が先発して柱になるかは、これからの取り組み次第です。夏は西だけでは勝てないので、西を支える存在になれたらいいと思います。それに自分は今の時点では監督さんに信頼されていないので、これからどうやって信頼してもらえるかだと思います。今はとにかく走って体を作れと言われています。春の大会で先発して最後まで投げて、抑えられるようになりたいですね」

 来春には150キロを出したいという目標がある。そのために体作りに余念がない。全体練習後はグラウンドから学校近くのトレーニングルームに移動し、毎日トレーニング器具を握りしめる。野球以外ならバスケットボールも得意で「ジャンプする競技は好きです」と笑みをこぼす。体力測定の“立ち三段跳び”ではチームで1位となる820センチという数字を叩き出した。「筋力はチームで西が断トツなんで勝てないですけれど」と苦笑するが、体のバネの強さも草加の大きな武器でもある。

 体作りのテーマは“壊れない体を作る”ことだ。「自分は足もあるので体のバネを使うのなら、もう少し大きくなるくらいがいいのかな」と本音を漏らすが、草加の成長は西にとってはこの上ない大きな味方になる。それどころか“2本柱”として来夏の高校野球を賑わす存在になるかもしれない。“最強の2番手投手”という表現には語弊があるかもしれないが、今、その道を草加はぐんぐんと邁進している。

(沢井史 / Fumi Sawai)

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