「全ては野球から始まった」―NFLでMVPマホームズ、父は元横浜の日米45勝右腕
父パットは横浜でプレーし巨人・松井秀喜氏とも対戦「プロの心構えを知ることができた」
米プロフットボールNFLの各賞が2日(日本時間3日)に発表され、チーフスのQBパトリック・マホームズが最優秀選手(MVP)を初受賞。プロ2年目の今季からレギュラーに定着し、NFL史上3人目のシーズン50TDパスをマーク。パス獲得距離はリーグ2位の5097ヤードを記録して最優秀攻撃選手にも輝いた。プロ2年目、23歳でスーパースターにのし上がったが、米国ではかつて横浜ベイスターズ(現DeNA)で先発右腕としてプレーした父パット・マホームズとの親子関係が注目されている。
「マホームズ親子」にスポットライトを当てたのは、米メディア「ジ・アスレチック」だ。「野球の環境で育ったことがどのようにパトリック・マホームズのNFLスターダムにつながったのか」との見出しで特集記事を掲載。主に先発右腕として日米通算45勝をマークした父マホームズが息子パトリックの生い立ちについて取材に応じている。
息子パトリックは高校時代に投手、一塁手、遊撃手としてプレーし、テキサス工科大に在籍した16年途中まで野球部としても活動していた。記事では「パトリック・マホームズの全ては野球から始まった」として、父マホームズとパトリックの名付け親である元ツインズ投手、ラトロイ・ホーキンス氏の2人が「少年時代に大リーグのクラブハウス内で時間を過ごしたことが現在の一流NFL選手としての成長につながった」と分析していることを紹介。父マホームズは記事で「私が99年にメッツに移籍した時に、息子は夢中になった。それ以降、彼はメジャーリーグのクラブハウスにいて、ずっとメジャーリーガーたちの周りにいた。プロとはどういうものか、プロの心構えを知ることができた。全てを吸収したんだ」と語っている。さらに、NFLは試合の度に各スタジアムが超満員となるが、父が「彼には問題ない。彼はただプレーするだけ」とコメントしたことが紹介されている。
野球は息子パトリックのアメフトのプレースタイルにも大きな影響を与えたようだ。マホームズのQBのスキルとして光るのが、強肩を生かしてサイドスローで相手ディフェンダーの脇の横を通すパス。これは「遊撃手としてプレーした影響」と考えられているという。記事では「大人のアスリートたちと時間を過ごすことが彼のリーダーシップを形成するのに役立った。さらに、(少年時代にプレーした野球で)遊撃手としてプレーしたことにより、有名なアンダースロー選手になることができた」と指摘している。
父マホームズは1992年にツインズでメジャーデビューした。150キロを超える豪速球が武器とし、メジャーでは主に先発投手としてツインズ時代の94年に9勝。通算42勝をマークした。97年途中から横浜でプレーし、巨人時代の松井秀喜との対戦経験がある。97年は9先発で3勝。98年は右肘の故障などで0勝に終わったが、俊足を生かして代走として起用されることもあった。
ベイスターズでの1年ちょっとでは3勝と輝けなかった父マホームズ。それでも、アメフトのスターダムを駆け上がった息子パトリック・マホームズのプレーには野球、ベースボールが宿っている。
(Full-Count編集部)