「お客さんがすごかった」地元も驚く田中将大、闘将のいた楽天久米島キャンプ
施設として不十分だった球団初年度のキャンプ
NPBで最も新しいチーム、東北楽天ゴールデンイーグルスは2005年2月、沖縄県久米島町の久米島町営仲里野球場でキャンプインした。
プロ野球の春季キャンプは当時から、少なくとも数千人規模が収容できるメイングラウンドと、内野守備練習ができる屋内練習場、ブルペン、サブグラウンドがあるのが前提だったが、仲里野球場は常設のスタンドやバックスクリーン、スコアボードがなかった。また、屋内練習場は普通の体育館であり、更衣室もなく選手は仮設のコンテナなどで着替えをすることになった。
しかも1、2軍合同だったため、狭い施設に70人の選手がひしめくこととなった。立地は観光地として有名なイーフビーチの近くであり、周囲にはリゾートホテルがあったが、当時の田尾安志監督以下、草創期の指導者は設備が整っていないことに愕然としたという。
楽天の春季キャンプの誘致に成功した久米島町は、仲里野球場の両翼を広げたり、観客席を設けたりしたが、1軍キャンプの施設としては不十分だったために、この年、久米島飛行場にも近い鳥島清水地区に新球場の建設に着工、翌2006年のキャンプに何とか間に合わせた。さらに2007年には観客席やバックスクリーンが整備された。現在では大型の屋内練習場の久米島ホタルドーム、ブルペン、サブグラウンドなどが完備され、1軍の高度な練習にも耐えうるキャンプ施設となった。
「一番、お客が来たのはマー君(田中将大投手)がエースの時代だね」
タクシーの運転手は語る。田中がエースと浸透してきた2010年はタクシーが何台も連なって、キャンプ地に向かうこともあった。2011年に星野仙一監督が就任してからは、取材陣の数も増えたという。